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2014.06/21 STAP細胞は存在するのか

カオス混合(12)の前に、科学的に未解明の現象が多い状態で科学的真理を導こうとしたときに生じる問題について、STAP細胞を例に考えてみたい。

 

つい先日、山梨大若山教授から否定証明により、ネイチャー誌に投稿された論文で使われたSTAP細胞が彼から提供されたマウス由来ではないことと、ES細胞だったことを示す科学的なデータが公開された。この結果は科学的に正しい結果だろう。しかも第三者機関が出したデータなので客観性もある。注意しなければいけないのはこのプロセスが否定証明である点だ。

 

気の早いメディアでは、この結果からSTAP細胞は存在しないという結論を掲載しているところもある。否定証明は、ある命題を否定しただけであって、全てを否定しているわけではない。仮に否定しようとした命題が間違っていたならば、否定証明で得られた結論も正しくないケースも出てくる。今回科学的な真実として示されたのは、現代の科学で証明された事実から導かれた、未熟な研究者が用いた細胞は若山教授が提供したマウス由来ではなかった、という一点である。

 

未熟な研究者は若山教授のマウスの細胞からSTAP細胞を作った、と主張しているので、現代の科学を元に判断すると、未熟な研究者は論文捏造だけでなくウソまで言っていることになる。もし、ここで理研からSTAP細胞作成成功という実験結果が出てきたら、単にSTAP細胞が存在する、という真実が示されるだけでなく、若山教授の真実まで疑わなければいけない状況、すなわち現在得られている科学の真実を再度見直さなければいけない状況まで生まれることになる。

 

これは、かつてゴッドハンドを持つ男と言われた考古学者が考古学の発見を捏造したためにそれまでの成果についてすべて見直しを行わなければいけなくなった事件と似た状況である。STAP細胞の論文捏造事件では、誰かがウソをついているのか、あるいは科学に誤りがあるのかどちらかとなる。

 

科学的に怪しい世界では、科学を厳しく見つめる技術者が必要になる。もし現在の科学の状況でSTAP細胞を作りたいならば、科学的アプローチではなく技術的アプローチを取るべきで、STAP細胞を作りだす機能をまず捜すべきである。そしてそのロバストを高める研究を行い、改めて科学的研究に入るのが正しい問題解決の方法である。

 

STAP細胞では細いスリットを通過させるプロセスが重要といわれており、このプロセスについては山形大学から最近発表された真理を知らないとその機能が見えてこない。すなわち生化学とレオロジーのクロスした地点がSTAP細胞の重要な機能になっている可能性がある。そしてこの機能が明らかになったときに、細胞刺激におけるレオロジーのような新たな学問分野が生まれるのかもしれない。将来必要となる科学についても(www.miragiken.com)で扱ってみたい。

 

 

カテゴリー : 一般

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