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2014.09/12 技術者の専門(2)

大学では合成化学を専門として学んだ。卒業論文は「ジケテンを不飽和カルボン酸のシントンとして活用するC5単位の合成」だった。簡単に言うと、当時小椋佳作詞作曲により布施明が歌ってヒットした「シクラメンの香り」を合成する研究である。米国の学会誌にその成果は紹介されている。

 

大学院ではホスホリルトリアミドの縮重合を研究した。このテーマで困ったのは、過去にかなり研究された実績があり、総説まで出ていたことである。ゆえに基礎研究ではなく応用研究に重点をおいた。4報ほど二年間に論文を書くことができた。

 

学校では合成化学を専門として学んだが、ゴム会社で最初に担当したテーマは、樹脂補強ゴムを用いた防振ゴム開発である。たった3ケ月の担当であったが、指導社員が極めて優秀な技術者であったため、濃度の濃い教育期間であった。

 

コンサルティング業務の一つとして混練技術を掲げているが、この3ケ月間に伝承された技術がベースにある。大学3年間に学んで蓄積した専門知識よりも混練技術の専門知識のほうが高いレベル、と感じている。すなわち合成化学者として勝負して勝てる見込みはないが、混練技術者ならば世間の技術者に勝てるような自信がある。

 

ならば混練技術が専門かといえば、そうではない。学位論文の半分を占めているのは、半導体用高純度SiCの合成法の研究である。セラミックスの専門家として看板を掲げたい気持ちが今でもある。講演依頼が最も多いのは高分子の難燃化技術で、こちらは出版社から論文執筆依頼を今でも受けるぐらい世間で認知されている。

 

従事した仕事で期間が最も長かったのは、フィルムの成膜技術と表面処理技術である。こちらも高分子の難燃化技術同様に1年に1度は講演依頼が来る。つい最近は電気粘性流体の相談を受け、忘れていた専門を思い出した。

 

電気粘性流体の耐久性をあげる界面活性剤の開発や電気粘性流体の高性能化を実現する3種類(傾斜組成粒子、微粒子分散粒子、コンデンサー分散粒子)の微粒子開発など確かに先駆的技術開発の実績が多いのでこれも専門である。開発の相談を受ければ素材の合成からデバイス設計まで一応指導可能である

カテゴリー : 一般

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