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2014.09/13 技術者の専門(3)

昨日技術者としての専門について書いてみたが、まだ書き足りない。しかし、昨日だけでも怪しい専門家と疑われるのでは、と心配している。多芸は無芸という言葉もあるので、昨日書き上げた内容では専門と呼べないのでは、と言われかねない。

 

3ケ月しか実務担当経験の無かった混練技術は、今最も得意とする技術であるが、そのきっかけとなったのは、カラー電子写真機に用いる中間転写ベルトの開発をマネージャーとして担当したことだ。

 

前任者からテーマを引き継いだときに、悲惨な状態であった。カーボンを分散して半導体化した樹脂を押し出し無担ベルトを製造するのだが、表面比抵抗が100倍以上もばらついている状態で歩留まりなどここにかけない状態だった。

 

コンパウンドメーカーを呼んで開発方針の見直しを求めたら、素人は黙っとれ、と言われた。お客さんを素人呼ばわりするのはまだしも、黙れとは何事ぞ、と、半沢直樹ばりに倍返し動機もあって、二名の部下をコンパウンド内製化技術開発に充てた。そして部下を指導して半年後にはプラントを立ち上げることができた。

 

コンパウンドメーカーは、日本を代表する研究機関から生み出された企業で日本のトップレベルの技術を持っていると前任者から聞いていた。しかし、そこに頼っていては半年後にテーマの完成は無いと判断し、内製化を決断した。写真会社なので混練の基盤技術など皆無である。頼りにしたのはゴム会社における3ケ月の実務経験だった。

 

20年近く前の技術だったが錆び付いてはいなかった。日本のトップメーカーができなかったコンパウンドの生産工場を半年後に立ち上げることができたのだ。3ケ月の実務経験に自信を持った瞬間である。

 

 

 

カテゴリー : 一般

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