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2014.10/13 諦めない技術開発(4)

 

高分子の難燃化技術を担当していた時の上司はマネジメントがうまかったのか下手だったのかよくわからないが、この管理者がいなかったならば、高純度SiCの事業がゴム会社で生まれていなかった可能性が高い。

 

なぜなら、始末書騒動とならず、樹脂補強ゴムを担当した時のようにテーマが中断され人事異動していたなら、新しい技術シーズが生まれるための土壌ができなかったからである。ホスファゼン変性ポリウレタンフォームを研究したために始末書を書くことになったのだが、始末書を書きあげるまで管理者とのコミュニケーションの時間が大幅に増えたのである。

 

もっとも当方が、「人に聞けない書類の書き方」にあるように、素直に謝罪して(謝罪する理由は不明だったが)始末書を簡単にかたずけていたならば、コミュニケーションの時間はとられなかったかもしれない。

 

しかし、何事も円満に解決したい、という管理者のおかげで、始末書をもとに炭化促進型難燃化技術の企画は練り上げられた。そして、ホウ酸エステル変性ポリウレタンフォームという技術が生まれた。

 

悪く言えば問題が起きないようにその場をつくろうようなマネジメントが、ホウ酸エステル変性ポリウレタンフォームを偶然生み出した、ともいえる。データも十分に無い段階で、燃焼した時の高温度でホウ酸エステルとリン酸エステルが反応してボロンホスフェートが生成するファンタスティックなテーマという少し恥ずかしいフレーズまで言わされた。

 

こっそりと夜遅くまで実験をやっていたのは大変悪いことだ、と遠回しな表現でくチクリチクリと釘を刺すように責められ、まだアイデア段階で狙っているゴールの姿まで話さなければいけない状況になった。

 

全て話したところ、すぐに始末書とボロンホスフェートが本当にできているというデータを持ってこい、と言われた。

 

周囲の評判では、マネジメントが下手で**だと悪いうわさばかりだったが、ホスファゼン変性ポリウレタンフォームから高純度SiCの新合成法開発までの実験プロセスだけを書き出してみると、典型的な目標管理のプロセスで、歪んではいたがコーチングされていた状況が浮かんでくる。本当は優秀な管理職で、周囲がそれに気がついていなかっただけかもしれない。

 

カテゴリー : 一般

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