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2014.11/06 問題解決プロセス(4)

データカード一組は重回帰分析を行うときに作成していたので、主成分分析は簡単にできた。この手法では、一次独立の新たな組にデータを変換して解析を進めるので、重回帰分析のように説明変数の相関を気にする必要は無い。

 

データは13組と少なかったが、それでもサンプル集団は第一主成分と第二主成分の軸できれいな群に分かれた。そして第一主成分と第二主成分が分かりやすい軸であったので、各群をうまく特徴付けることができた。

 

注目すべき軽量タイヤ群にはM社以外にP社とC社が入っていた。P社とC社のタイヤ重量は、平均値を下回っていたが、特別軽量というわけではなかった。しかし、ビード部と他の部分の構造をM社に揃えてやると、M社に肉薄する重量になった。また、P社とC社のタイヤ構造にはM社には無い新しい工夫がされていた。そしてトレッド部分が特に軽量化されていた。

 

入社したゴム会社とY社は特徴の無い平均的なタイヤの群であった。面白いのは、軽量化因子を全く持っていないタイヤの群が存在し、その一つは昔からのバイアスタイヤだった。主成分分析を行った結果、ラジアルタイヤでも異なる設計思想と技術でタイヤが設計されている様子がうまく整理された。

 

主成分分析により、重回帰分析の結果の理解も進んだ。そして軽量化に効果がありそうな因子を特定でき、それぞれの理想の数値を重回帰式に入れたところ、単純に各要素の最低値を入れた場合よりも軽量の数値になった。この技術要素で実際にタイヤを作ることができるのかどうか指導社員に尋ねたところ、作ってみようということになった。

 

一週間後にできあがったタイヤは一応タイヤの格好をしていた。リム組みして乗用車に取り付けて走ることもできた。乗り心地も悪くなかった。皆研修テーマの完成を喜んだ。

 

技術研修発表会の日、自信を持って発表したら、CTOから、「君にとって軽量化タイヤとは何か」という質問が飛びだした。「ここでご説明した、多変量解析で導き出された技術要素で軽量化されたタイヤです。」と答えたらカミナリが落ちた。

 

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