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2014.11/21 問題解決プロセスとしてのタグチメソッド(5)

技術者がどうしても複合システムを扱わなければならない場合がある。すなわち唯一の基本機能を持ったシステムを切り出して実験ができない場合である。例えば高分子を難燃化しようとする時に、その燃焼を防ぐ難燃化システムを唯一の基本機能で捉えようとすると実験が難しくなる。

 

なぜなら燃焼とは急激な酸化反応であり、未だ科学的に未解明な領域が残っているからである。分子システムの酸化速度論については、科学的に解明されているが、このシステムだけを切り出して、わざわざタグチメソッドを適用しようという技術者はいないはずだ(注)。

 

それが重要な事だと分かっていても当方はやりたくない。それができたとしても商品開発がうまくゆかないことが見えているからだ。もし時間が十分にあり経済的にも許されるならばやってみたい気持ちもあるが、日々の商品開発ではそのようなシステムを絶対に取り上げない。

 

こんな議論を故田口先生としたわけだが、先生は穏やかに複合システムとして切り出しても商品に大きな影響を与えるシステムが存在するはずで、その基本機能を代表して使えば良い、と失礼だが当方も考えられるようなことをおっしゃった。この時改めてタグチメソッドの理解が進んだ。

 

高分子の難燃化では、LOIを基本機能とする実験計画も可能であるし、燃焼速度や燃焼時間を基本機能とする実験計画も可能である。そしてそれぞれの基本機能は複合システムである難燃化システムをどのように技術者が見つめているかに影響される。

 

その結果できあがる難燃化システムが左右される。新技術が生まれる可能性も同様に影響をうける。このようなケースは難燃化技術以外にもあり、問題の取り上げ方、問題解決のプロセスが重要になってくる。弊社の問題解決法ではこのような場合にどうしたらよいかも示している。www.miragiken.com  の書き出しは、問題解決法の比較で始めている。

 

(注)これは科学者の仕事である。技術者はこの仕事ができなくても、低分子の酸化挙動から頭の中で現象をシミュレートしなければいけない。

カテゴリー : 一般

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