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2014.11/25 問題解決プロセスとしてのタグチメソッド(7)

タグチメソッドを用いると実験工数を削減でき合理化できる、という誤解がある。KKDと一因子で実験を行い、ロバストの低い商品を市場に出し、クレームが来てから手直しを行う開発のほうが、初期の研究開発期間を短くできる。意図的にそのような開発をやっていると思われる商品も世の中には存在する。

 

ゆえに単純に開発工数の削減という視点でタグチメソッドを捉えるとがっかりするかもしれない。タグチメソッドの利点は、ロバストの高い品質を実現できる効率のよい開発法という特徴である。

 

市場で多くの実績があり、どのような因子がロバストに影響するのかノウハウがある場合には、タグチメソッドは面倒な開発手法に感じる。多くのノウハウがある場合には、タグチメソッドは不要かもしれない。

 

それでもなおタグチメソッドを使う理由は安心感である。同じ技術を新製品用に開発しているときに、タグチメソッドは退屈な実験になる。予想したとおりの最適条件が得られ、再現実験も問題なく終了し、技術が完成する。タグチメソッドがムダだったわけではない。類似結果が得られたことに安心すれば良い。

 

システム選択は技術者の責任で行われるが、非科学的に選ばれたシステムが正しいかどうかは実績を積み重ねて信頼性を上げてゆく以外に方法はない。もしそれが科学的に正しいと証明されたシステムでも市場のノイズをすべて実験室で確認することは不可能なので、やはり実績を積み重ねることが重要になってくる。

 

科学では、科学的に行われた実験でたった一つの真実でも示されたならば、それがゴールとして価値が高くなる。技術では、システムの機能が市場で安定して発揮された実績が積み重ねられて初めて価値が出てくる。

カテゴリー : 一般 連載

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