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2014.12/02 企業の科学的問題解決プロセスにおける問題(2)

昨日の話をもう少し詳しく書くと、コンパウンドの開発を外部に依頼して製品開発を進めていた体制だったので、そこへカオス混合の開発を依頼する予定でいた。しかし、外部のコンパウンドメーカーに一笑にふされ、目論見は頓挫した。非科学的な内容だったからである。

 

結局材料を内製化することになり、コンパウンド工場をたった3ケ月で立ち上げなければいけない状態に追い込まれた。しかし日本には粋な中小企業があり、無茶苦茶な発注を当方の依頼であれば、と引き受けてくれた。これは過去の成功体験を積み重ねてきた信頼関係のおかげで、そこの担当者と進めた仕事がすべて成功していたからだ。

 

非科学的な技術は、町の中小企業により短期間に生産設備へと具現化された。日本の第二次産業の良いところは、中小企業でも凄い技術を持っているところがある点である。さらに良い点は現場指向が強いので非科学的であっても実験室で実現できたならば、信用してそのとおりのものを作ってくれることである。

 

特注二軸混練機からPPSと6ナイロンが相溶し透明な樹液となって出てきたときには感動して涙が出てきた。教科書に書かれていない現実が目の前で起きているのである。ところがマネージャーは「本当にできたんですね。」とあっさり一言だけであった。

 

企業の研究開発ではイノベーションが求められているが、大抵の研究管理者はこのマネージャーと同じではないだろうか。チャレンジの意味が分かっていないのである。管理者であることを忘れ、いっしょに感動を共有して欲しかった。

 

カテゴリー : 一般 連載 高分子

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