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2015.02/10 イノベーション(1)

新入社員の研修の講和では、イノベーションがキーワードの一つだった。そして化工品部門の売上げを伸ばすことが強調された。変化に対して工夫で対応するのがこの部門のミッションという名称の由来までイノベーションの期待が込められていた。

 

タイヤ会社であり、国内トップであったが世界ランキングは6位だった。タイヤ業界は寡占化が進み、売り上げを伸ばすには化工品部門の成長しかない、と言い切った役員もいた。その3年後のCI導入では、社名からタイヤが無くなり、創立50周年記念における社長の講和は、電池とメカトロニクス、ファインセラミックスを3本の柱とする成長戦略で進む、と化工品部門に軸足を移す内容だった。

 

ホスファゼン技術で電池やメカトロニクスに貢献した。その他、電気粘性流体の性能を向上する3種の粉体や耐久性を向上する第三成分の開発などの成果を出したが、いずれも現在その事業は無くなっている。自ら企画し6年間開発の死の谷を歩いたファインセラミックス分野の高純度SiCの技術は30年経った現在でも事業は継続され、日本化学会化学技術賞も受賞している。

 

当時の服部社長が提示した3本の柱で唯一ファインセラミックスだけが残った。これは、ゴム会社における大きなイノベーションだったと思っている。既存事業領域と全く異なった畑に事業の種をまき、それを育てる、これは大変なことなのだ。

 

3本の柱が提示された時、研究部門でファインセラミックスの企画を提案したのはたった一人だった。2憶4千万円の先行投資を受け、必死で事業開発を続けたが、トップの理解はあっても、周囲の理解は無かったようだ。

 

当時の住友金属工業とのJVを立ち上げた時、ある騒動が起きて、転職することになった。学会賞の推薦書では、当方の転職後から開発が始まったことになっていた。事業の成功を願い、自ら身を引いたのだが、必ずしも理想通りには物事は進まないようだ。ドラッカーが誠実と真摯さを強調した理由がよく理解できる。

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