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2015.02/12 イノベーション(3)

イノベーションは、経営の努力があって組織が動き、そして個人の能力が引き出され、その結果起きるのが理想である。中小企業では、スーパーマンの担当者により引き起こされることもあるかもしれないが、大企業では、いくらトップマネジメントが旗を振っても、ミドルマネジメントにつぶされるということが起きるから大変である。

 

このことに経営者は気がついているだろうか。高純度SiCの事業化を推進していた時に、上司は短期間にころころと変わった。その中には露骨にセラミックスの研究所をたたむように言ってきた上司もいる。その時はSiCヒーターの企画を提案し切り抜けたが、テーマに対して後ろ向きの上司のほうが多かった。

 

ゴム会社で最後にご指導いただいた上司は、左遷されたとうわさされていた。当方の上司になることが左遷の意味とは少し悲しかったが、この上司とは転職までの3年弱うまく仕事がはかどり、住友金属工業とのJVを立ち上げるまで業務が進んだだけでなく、副業として設定していただいた電気粘性流体のテーマで傾斜組成粉体や、ホスファゼン難燃オイル(注)、ERFの耐久性をあげる添加剤など多くの成果を出すことができた。

 

この上司のマネジメントは、それまでの上司と異なり、担当者として仕事がやりやすかった。しかし、ある騒動が起きたときに、うまく収拾していただけなかった。隠蔽の方向に事態が流れたのである。

 

当方がそれを我慢すればよかったのだが、まだ若かった。犯人捜しをしたのである。繰り返し行われたために犯人を見つけるにいたった。この状況で、上司がどのようにマネジメントを行ってきたのかも分かり、そのご苦労に涙が出てきた。

 

(注)ホスファゼン変性ポリウレタンフォームの開発を入社して一年後に行った。このテーマではささやかなイノベーションを引き起こしたにもかかわらず、自分で合成したホスファゼンを難燃剤として用いたために始末書を書かされた。なぜ始末書を、という疑問もあったが、しばらく技術を温めていた。やがてこの技術は、難燃性オイルやリチウム二次電池電解質の添加剤として花開く。後者は日本化学工業から今でも販売されている。

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