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2015.03/15 イノベーション(34)ドラッカーの場合

昨日は60年前のドラッカーの著作に書かれたイノベーションについて触れたが、1985年に出版された「イノベーションと企業家精神」は、ドラッカーのイノベーション論の集大成とも言える書である。この書では、「創造する経営者(1964)」や「断絶の時代(1969)」、「マネジメント(1974)」はじめ多数の著書に書かれたイノベーションを改めてまとめ直している。

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ドラッカーの意味するイノベーションは、以前にも説明したように技術革新だけではない。創造的破壊により、非連続的な発展が起きる全ての経営に関係する現象を言っている。だから「断絶の時代」という言葉は、日本で単なる世代間の断絶として新聞で誤用されたりしたが、これは素直に訳せば不連続あるいは非連続の時代という意味である。

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ドラッカーのイノベーションによれば、目の前に起きている変化、それに気づくことが重要で、その変化の先端にある価値の具現化されたものをただ真似る、というだけでもイノベーションを起こせる可能性がある。ドラッカーはここまで言っていないが、30年以上の技術開発経験から、少なくとも技術については、トレンドの先端にある技術を少し真似るだけでもマーケティングと組み合わせればイノベーションを起こせると思っている。

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たとえば1990年代にゾルをミセルに用いてラテックスを合成する技術の開発に成功したが、これは当時先端技術であったライバル会社のコアシェルラテックスの合成方法をトレースしていて発明した方法である。そして、この技術は当方の開発から5年後学会誌で欧米の研究者により、革新的技術として学術論文に発表された。

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当方のグループで開発したときには、おもしろい技術という程度の認識で、たまたま国立大学の先生から高分子学会賞に推薦された時には謙虚に技術説明を述べたが、その審査会で某私立大学の先生から陳腐な技術と言われ、がっくりした。日本のアカデミアには、技術を理解していないで審査員として出てくる、このような問題のある先生もいるので注意が必要だ。

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