活動報告

新着記事

カテゴリー

キーワード検索

2015.05/04 問題解決(3)

PPS中間転写ベルトの開発を担当したのは、2005年8月だった。八王子から豊川へ単身赴任する途中で撮影した家族写真では、単身赴任という状況にかかわらず幸せいっぱいの笑顔で写っていた。すぐに問題解決できる自信があったからだが、単身赴任してみると本当の問題は、コンパウンドの混練技術をどうするか、であった。

 

当初外部のコンパウンドメーカーが一流で、当方が指導すれば簡単に問題解決できる、と考えていた。しかし赴任そうそうコンパウンドメーカーからは、素人は黙っとれ、と言われてしまった。おそらく中部圏の出身者だろうと思われるが、せっかくすばらしいアイデアを話そうと思ったが、簡単に発言そのものを封じられてしまった。そして押出成形のほうを真剣に考えろ、とまで言われた。ここまで言われては、お客の立場丸つぶれである。

 

外部のコンパウンドメーカーは確かに一流メーカーであったけれど、ヒューマンプロセスによる考え方ができない人たちで、教科書通りの開発を進めている。教科書通りだから間違いではないのだけれど、長い間開発を進めてきても問題解決できていなければ、少しはやり方を変えようという人が出てきてもいいと思うが、科学的に技術開発を進めている、という自負がそうさせないのだろう。さすが○○○という昨年新聞を賑わせた研究所から生まれた会社である。「科学」命の会社かもしれない。

 

単身赴任前に考えていた問題は、一気に意味が無くなった。「コンパウンドの混練技術をどうするか」が最大の問題になった。外部のコンパウンドメーカーはお客に協力しようとしないばかりか、お客の技術力を疑っているのである。年内にベルトの内製化をどうするのか提案しなければいけない立場として、年末を待たず意思決定する必要が生じた。

 

年末にPPSのベルトが完成している状態を思い描けば、コンパウンドの混練技術を1ケ月以内に完成しなければいけない。コンパウンドの内製化を早期に意思決定しなければ問題解決できないことは明らかだった。この意思決定以外であれば、開発失敗を前提に社内調整を始める、という道である。

 

まだ半年ある、という楽観的考えから、コンパウンドの内製化を決意し、外部のコンパウンダーの対応はマネージャーに任せ、コンパウンド技術の開発を始め、1ケ月後にカオス混合技術を用いて「できる」という感触を得た。正しい問題を見いだすためには、意思決定ができているかが重要である。迅速な意思決定は自ら行動することにより可能となる。

カテゴリー : 一般

pagetop