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2015.06/26 科学と技術(6)

(昨日の続き)結局2週間駐在して観察したが、エラーは一度も起きなかったので、テーマを採用しない方針を製造部長に納得いただいたが、当方が帰ったとたんにエラーが発生したと製造部長から電話がかかってきた。

 

仕方がないのでひしゃく作業を書き入れた品質規格書を持参し、製造手順を一部修正することで対応して欲しい、とお願いした。この時今だからいえるが、少し誠実でない対応をした。2週間駐在し現場の問題を把握した、それでこのひしゃく作業を取り入れたので品質問題は必ず収まる、と説明したのだ。

 

製造現場には何も問題は無かった。ただ、2週間の駐在中に時間があったので、現場にあったほかのラテックスの製造手順書を読んでいて、初期に開発されたラテックスの製造手順書にひしゃく作業を見つけたのだ。しかし、20年近く前の技術で、このひしゃく作業がどのような目的で行われているのか正しく知っている作業者はいなかった。また、開発報告書も保管されていなかった。

 

製造の係長に、どうでもよいひしゃく作業を省略したら作業効率が上がるのではないか、と尋ねたら、当方は現場を知らないからだめだ、と叱られた。その作業で微量成分を処理しているのだという。しかし、実際の作業を見る限り、完全に除去できているのか分からない作業である。

 

製造の係長は、昔手順書には5回やれと書かれていたのを2回まで減らすことに成功した、と自慢げに付け加えてきた。なぜ0にしないのか、と尋ねたら、微量成分を理由にした同じ答えが返ってきた。見るからに怪しい作業であるが、現場の作業者は慎重にひしゃくで2回すくう作業を行っている。防護マスクをつけているので息を止めているのかどうかは不明だが、防護めがねの奥の目つきから、それが理解できた。(明日へ続く)

 

カテゴリー : 一般 高分子

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