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2015.07/13 技術者の能力(2)

しかし、技術開発に使える問題解決法は、人類の歴史をたどってみると科学だけではないことに気がつく。確かに科学は技術開発のスピードを速めたが、人類の過去の歴史を見てみると、少し極論かもしれないが、科学は教育という手段で普及するために便利な問題解決法だったにすぎないことが分かる。

 

科学が生まれる前の時代は天才的な技術者が、試行錯誤や風が吹けば方式の論理展開で技術を発明し、人類の生活を便利にしてきた。そして獲得された新技術が伝承され、それにさらに磨きがかかり、より生産性の高い便利な道具を生み出すとともに技術を高度化してきた。

 

科学で明らかな現象から導き出される機能だけを使って技術開発を行うのであれば、科学的方法が最も良いと思われるが、科学で解明されていない現象から新たな技術を生み出さなければいけないときに、科学の無い時代の人類が行っていた方法は、技術開発のスピードを上げる。

 

例えば電気粘性流体の耐久性が問題になった時に、科学的方法でアプローチした人たちは、界面活性剤で耐久性の問題を解くことができない、という否定証明を見事に行っていた。当方は、その結果を見て、科学的方法ではこの問題を解けないことを知り、科学の無い時代の天才が行っていた方法で問題解決を行った。

 

当方は試行錯誤で電気粘性流体の耐久性を向上できる界面活性剤を見つけただけだが、試行錯誤と言っては馬鹿にされると思い、「15世紀の天才が行った方法で見いだした。」と冗談半分に答えただけだった。電気粘性流体の耐久性の問題の解は、界面活性剤以外の方法ではゴムから添加材を抜いてゆくというナンセンスな手段になる。界面活性剤以外の良い解が無いならば、界面活性剤で何とかして解決するのが技術の問題解決法である。

 

ところが、難しい問題について、できない、という証明はいつでも科学で簡単にできてしまう。異なるHLB値の界面活性剤をいくつか添加して解決できないことを示せばよいのである。報告書を読むと多くの種類の市販されている界面活性剤を検討し、界面化学では問題を解くことができない、と結論が出されていた。しかし、界面活性剤で問題解決できたのである。それも非科学的アプローチによってである。(続く)

 

 

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