活動報告

新着記事

カテゴリー

キーワード検索

2015.07/14 技術者の能力(3)

試行錯誤という方法は、腕の良い職人も行う。職人で技能の差が生まれるのは、この試行錯誤ができるかどうか、という点ではないか、と思っている。もしそうならば、腕の良い職人は技術者でもある。

 

また、当方が32年間の会社生活で大卒以上の学力を有しながら、科学的方法を使わず、腕の良い職人のような技術開発を行っている人たちを写真会社で多数見てきた。

 

この試行錯誤を少しかっこよくしたのはタグチメソッドである、と思っている。タグチメソッドが嫌われる背景は、その方法にあるのではなく、その手法を指導している先生方が科学者然としている点である。科学として指導しているから基本機能の説明が難しくなる。

 

技術者の心眼で見える基本機能としてしまえば、初学者でも容易に理解できる。これをエネルギーと関係づけたり、妙な似非科学的因果関係から考えさせようとするから初学者には難解にうつる。

 

タグチメソッドは試行錯誤を効率よくやる方法だと思えば、日々の仕事に取り込みたくなるはずだ。計画性のない試行錯誤では、制御可能な因子を行き当たりばったり変化させて、ある日偶然に良い制御因子の組を見つけて、ゴールへ到達する。

 

会社では、行き当たりばったりではなく、それを計画的に行うことが求められる。そして計画的に行うだけでなく、科学的な香りをつけて行えば上司も納得する。企業の研究開発は科学的に行われているように見えるが、科学の真理を厳密に追及する進め方をしているところは少ない。

 

行き当たりばったりを工夫する方法として、ラテン方格に制御因子を、またSN比をその外に割り付け実験計画法のように実験を進めるやり方がある。このタグチメソッドでは、科学的に説明できない因子が選ばれたとしてもそれでよしとする。

 

そして、だれでも効率よく機能のロバストをあげることができる。タグチメソッドを指導している先生には叱られるかもしれないが、感度最高の制御因子を選べば、最高の性能を出せる技術を容易に創造できる。

 

タグチメソッドは今の時代において常識のように技術者は身につけておかなければいけない能力の一つだろう。ただし科学的な方法ととらえるとそれが難しくなる。タグチメソッドは科学的な香りのついた説明がなされたりするが、妙な制御因子の組み合わせが選ばれたとしてもそれで技術ができあがってしまう、技術的手法の一つである。

 

もし必要であれば弊社に依頼して欲しい。一般に指導されている考え方と異なる科学ではないタグチメソッドを進化させた方法を伝授いたします。それも教条主義にならず楽しく使いたくなるようにご指導いたします。ただしタグチメソッドはトレードマークなので仮にケンシューメソッドと呼ばせていただきますが—。
 

 

カテゴリー : 一般

pagetop