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2015.07/19 高純度SiCの技術開発(2)

高純度SiCの技術基盤は、高防火性フェノール樹脂発泡体を用いた天井材の開発経験である。しかしこれだけではない。ポリウレタンRIMの技術開発の成功体験も活用している。ポリウレタンRIMの技術を知ったのは、研究所の大掃除の時にポリウレタンRIMで製造されたタイヤを見つけたことがきっかけである。

 

その製造技術に興味を持ち、その仕事を経験された二人の技術者にヒアリングした。一人の技術者は研究所の所長で、他の一人は研究管理の主幹研究員をされていた部長である。ポリウレタンRIMタイヤは商品にならなかったのだけれど、技術として成功した体験をお二人は丁寧に話してくださった。

 

面白かったのは、それぞれの技術者がお互いを尊敬しあっていたことである。その尊敬している表現が面白かった。担当していた仕事は、評価解析技術と合成技術でありそれぞれ異なっていたが、そこで生じる葛藤が面白かった。方やカミソリに例えられ、方ややかんである。話の前後が分からなければ、尊敬の雰囲気など伝わらない例えである。

 

実体験はしていないが、RIMという技術や、合成技術と評価技術を対にして技術開発を進めなければいけないということなど学ぶことができた。研究開発において商品化はゴールであり、それができれば大成功である。しかしすべてが商品につながるわけではなく、お蔵入りする成果もある。お蔵入りした場合にそれは短期的視点でそれは失敗かもしれないが、それがシーズとなり新たな技術が生まれた場合には、その研究開発は成功だった、といえる。

 

ポリウレタンRIMの技術は、タイヤを製造する目的で開発されたが、その後ゴムクローラやレーシングカート用タイヤなどに展開された。だからお二人の技術者は成功体験として話をされたのである。研究開発でゴールとした商品を実現できなかったときに、その開発を失敗とする経営者は多い。しかしそこで生み出された知価を大切に展開するようなマネジメントこそ重要である。

 

これはゴム会社の風土でもあり、高純度SiC開発における6年弱の死の谷を経営が我慢できた背景でもある。ゴム会社にはBR01の開発という合成ゴム会社が設立されるきっかけとなった成功体験が伝説のように語り継がれている。技術マネジメントとして暗黙知を後生に伝承する姿勢は大切である。一人の技術者により生み出されたシーズが事業に展開されるまでには様々な人がそれぞれの仕事や役割で関わることになる。優れた語り部たちの合成技術担当をやかん、評価技術担当をカミソリと呼び合っていたのは、それぞれの役割と仕事をうまく表していると今でも思っている。

 

 

カテゴリー : 一般

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