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2015.07/24 未だ科学は発展途上(3)

20世紀に科学の成果はどんどん実用化され、科学の恩恵が感じられたが、21世紀に入り少し陰りが見えてきた、という人もいれば、一方で文教行政の見直しを唱える人もいる。現実には大学の独立行政法人化の効果が現れてきて、大学の研究環境は厳しくなってきた。

 

ただ忘れてはいけないのは、科学で未解明の自然現象が未だに多い、という現実である。大学の先生の中には、例えばダッシュポットとバネのモデルでレオロジーを研究してきた人のように、仕事が無くなった研究者もいる。いまでもこのモデルで高分子を研究しているとしたら大学の教員をやめて企業に行くべきである。企業には、そこそこ便利なこのモデルの技術ニーズがあるかもしれない。

 

高分子のレオロジーは、あまり注目されていないが、若い優秀な研究者はどんどんチャレンジできる面白い分野だ。もしこの分野が飛躍的に進歩したならば、高分子材料の現場で困っている大半の職人は大喜びする。技術者がうまく問題解決できない現象が多いためだ。

 

中間転写ベルトの開発を引き継いだときに金型をシンプルなコートハンガーダイに固定して問題解決した。シームレスベルトの押出成形に用いられるスパイラルやスパイダーなどの金型は、コートハンガーダイのウェルドの問題を解決するために考案されたようだが、その金型内部における樹脂の流動は複雑になる。

 

ウェルドの問題は残るが、シームレスベルトの押出成形に用いられるコートハンガーダイの内部における樹脂流動は大変シンプルで考えやすい。PETの成膜で用いられるTダイと同様の考え方もでき、問題解決が容易である。

 

実際にウェルドの問題を解決したら順調に量産が立ち上がった。ウェルドの問題は難しい、と敬遠されがちだが、難しい一個の問題と複数の訳の分からない問題とどちらを選んだら良いかは、趣味の問題もあるかもしれないが、当方は前者を選ぶ技術開発スタイルである。高分子の樹脂流動について科学で未解明の事柄は多いので一個の問題に集中する方が賢明である。

 
 
 
 

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