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2015.08/27 技術のコモディティー化

液晶TVやDVD,太陽電池など20世紀に日本が100%近いシェアーを誇っていた電気製品が30%以下のシェアーに落ちていったのは、技術のコモディティー化が原因である、と言われている。
 
確かに20年経過して基本特許が切れ、技術がコモディティー化してどこでも誰でも製造できるようになったので韓国や中国企業の追い上げでシェアーを落としていった、というのは現象の説明としてわかりやすい。
 
ただ世の中にはローテクでどこでも製造できそうなのに参入障壁の高い技術領域があることを忘れている。例えば自動車用タイヤ。自転車やオートバイ用のタイヤは、すでに価格競争に突入し、電気製品と同様の状態になっているが、自動車用タイヤについて、トップ3がブリヂストン、ミシュラン、グッドイヤーであるのは1990年以降変化が無い。
 
また、レーザープリンターの高級な複合機分野では、キャノンとリコー、ゼロックスのシェアーに大きな動きは無い。CRXの堅実な技術経営の前に他社は食い込めない。
 
これらの分野と液晶TVとの大きな違いは、科学で解明されていない技術領域であるかどうかの違いではないか、と思っている。いわゆる世間でいうところのノウハウが無ければ製品の品質を作りこめない分野である。
 
自動車も同様で、エンジンの組み立てについては自動車会社各社必ず自前で行っているので、参入障壁が高く、トップ企業のシェアーに大きな変動はない。しかし、ここにきて電気自動車の時代になるとこのシェアーに大きな変動が起きるかもしれない、と言われるようになった。なぜなら動力源であるモーターの組み立てにはエンジンほどのノウハウは必要ないからである。
 
このように考えてくると技術のコモディティー化が起きやすい技術領域とそうではない技術領域がありそうに思われ、見方を変えると、科学の急速な進歩により、形式知を中心に進歩した技術領域はコモディティー化しやすい、となるのではないか。
   

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