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2015.08/31 ぱくり技術

某新聞に中国のパクリ技術の実態が書かれていた。新聞記事によるとどこからともなく日本の技術の設計図面が流れてきて、それでモノを生産している、というのである。もちろん記事を書いている人は、それがどこから流れてきたのか知っているのであろう。
 
当方も中国でコンサルティングをやっていて同様のびっくりした体験がある。某社の設計仕様書がそのまま当方に示されて、次回これを生産したいので指導してほしい、というのである。見せられたものをそのまま指導しお金がもらえるならば、それは気楽な稼業である。おそらく同様のことが中国各地で行われているので新聞記事に書かれているようなことが起きているのだろうと思った。
 
当方は、示されたものよりもっといいものを作りませんか、と提案してみた。そしたら、もっといいものができるなら、それをやりたい、と応えてきた。そして設計仕様書と異なる技術をタグチメソッドで開発し特許明細書まで作成したら感謝された。
 
当方の体験からいえるのは、パクリの情報をもとにしてそれより良いものを作るように指導すれば、新聞記事に書かれているような問題は無くなるのである。ところが、冷静に考えると、これはこれで日本企業の技術が中国に負けるという新たな問題を引き起こす。
 
ただ、この問題は日本企業にも新たな技術開発を促進するので技術の進歩を考えれば、パクリ技術が蔓延するよりは良いかもしれない、と考えた。また、よりよい技術開発のために当方への日本企業の依頼も増えるだろう、ととらぬ狸の皮算用をした。
 
中国の第一次産業から第二次産業への転換は急速に進んだ。新幹線から眺める光景には、荒れた田畑や昔村だったところに廃屋がある。農業を捨てた彼らとて、事業の永続性を保証しないパクリ技術がよいと思っているわけではないようだ。ただ、自前で開発するその手法あるいは経験が無いだけなので、そのあたりを弊社はコンサルティングの中心においている。
 
今や技術はグローバル化ボーダレス化しており、技術者は日々の研鑽を怠ればあっという間に使い物にならなくなる時代である。中国がパクリ技術を、と言っている間はまだ幸せなのかもしれない。中国が日本よりも優れた技術開発を行うようになった、という時に日本はどうする?
    

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