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2015.09/12 イノベーション(5)

ゴム会社における高純度SiCの事業化テーマを担当し、様々な人間模様を見ることができた。企業でイノベーションを行うにあたり、技術以外の学ぶべきことが多かった。また、ベンチャーからスタートした会社の独特の企業風土の効果も実感した。留学の時にお世話になった人事部長はじめ本社の管理職の方々は、皆新事業に未来の夢を描かれていた。
 
なぜか研究所には夢は無く現実路線であり、平社員の立場でイノベーションを起こしにくい環境となっていた。しかし、自分の意思を貫き、無機材質研究所へ留学したところ、I総合研究官との出会いなど多くの社外の人脈が得られ、高純度SiCの事業化を成功させることができた。
 
電池の仕事を手伝っていたときに、高純度SiCの仕事を辞めるように上司から勧められた。さらにFC棟のすべての設備を廃棄し、電池の生産ラインの場所として空けるように命じられたこともあった。しかし、すべて従わなかった。必ずしも直属の上司から見て給与を増やしたくなるような社員ではなかったはずだが、それでも給与は下がらず上がっていた。
 
高純度SiCの研究予算は、研究管理部の部長から毎年期初にいただいていた。ここでは書けない方法で決められた予算は、死の谷を歩いているとは、いいにくい金額だった。6年間の苦労の期間は、死の谷ではなく天国だったのかもしれない。
 
大会社でイノベーションを起こそうとするときに、それに反対する人は社員の中に必ずいるものだが、イノベーションを起こそうとする人は反対勢力に目を奪われてはいけない。経営者や支持者の気持ち、その期待や夢をいつも考えるべきである。
 
イノベーターが自己の立場のみ考えたなら、企業におけるイノベーションは失敗する。反対勢力に配慮が足らない態度と映るかもしれないが、反対勢力というのはイノベーションを継続している限りその反対姿勢は変わらないので、むしろ継続の強い意志を萎えないようにすべきである。
 
他の事例ではあるが、ブルーレイの発明では会社から追い出されたような形にイノベーターは置かれている。しかし、当方は事業に良い影響が出るように自ら判断し転職をしたので会社から追い出された気持ちをもっていない。それゆえ、半導体治工具の基本特許はじめいくつかの特許の報奨金もゴム会社に請求していない。
 

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