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2015.10/16 東洋タイヤと旭化成子会社の不正問題

東洋タイヤで免震ゴムに続き防振ゴムの不正が発覚した。また、旭化成子会社がデータを捏造して建築した横浜のマンションに2cmほどのずれが生じた、と大騒ぎになっている。業界は異なれど日本のモノづくりに、ほころびがみえた事件である。
 
フォルクスワーゲンの事件に驚いたのもつかの間、日本の製造業でも不正が連発している。東洋タイヤに至っては、難燃断熱材の不正も含めると3例目である。東洋タイヤで興味深いのは、再発防止のためのコンプライアンス研修を受けた社員による内部告発で判明したと伝えられたと思ったら、その社員の所属は、免震ゴムの問題で監査を済ませた部署だった、というニュースが聞こえてきたこと。
 
旭化成子会社の不正では、他の測定データから測定値を推定し記入するという手抜きである。東洋タイヤも旭化成子会社も、その公開された情報から、現場で行われた不正を管理者がチェックできてないために発生しているような構造が見えてくる。すなわち、フォルクスワーゲン社の不正の構造とは少し異なる。
 
仮に、現場の技術者の不正を管理者がチェックできていないために発生した、とした時に、どこに問題があるのか。これは、ゴム会社と写真会社の二つの会社を体験して気がついたことだが、企業により現場に対する管理者の意識が大きく異なっていた点に着目している。
 
ゴム会社では、現場の技術を正しく理解することが管理職に強く求められ、写真会社では現場の人事管理が強く求められていたのである。わかりやすく言えば、課長レベルならばゴム会社では担当者と同等以上の技術の知識が求められたが、写真会社の課長レベルにはそれが強く求められていなかった。
 
写真会社に転職した時に、主任研究員として処遇されたが、自ら志願して一担当者として一か月ずつ様々な現場の作業を手伝った。しかし、同僚から奇異の目で見られたり、センター長からは、当方に期待しているのはそのような仕事ではない、と言われたりした。ゴム会社では信じられない雰囲気だったが、当方は技術部門の管理職としてそれが正しい姿と信じ、半年間、現場に拘った。
 
すなわち、管理者の現場力が低下しているために不正が見抜けない、あるいは、管理者が不正を不正として部下を指導できない状況について、経営者は気がついているだろうか。また、そのような状況を生み出す風土(注)をメーカーとして好ましくないと考えていないのだろうか。コンプライアンスの研修だけでは解決がつかない問題である。
 
(注)二つの会社を経験し、管理職の現場力が低下する原因をほぼ理解できている。ご興味のある方はお問い合わせください。かつてのヒエラルヒーが崩れ、簡素化した組織で重要なのは中間管理職の現場力である。

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