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2015.12/07 管理職の仕事(5)

外部のコンパウンドメーカーに樹脂技術を依存する開発組織をコンパウンドから技術開発を進める組織に変革した。しかし組織が、環境負荷の低減で社会に貢献するという使命は変わらない。そこで、電子写真の内装材や外装材に用いられる環境対応樹脂の開発も開始した。
 
ただし、これはデザインだけを業務として、生産は外部で行うスタイルの仕事として企画された。生産量が中間転写ベルトのコンパウンドよりも桁違いに多くなるからである。コンパウンド技術ができたからといって、コンパウンド生産まで常に自社で行う必要ない。すなわち仕事というものは、果たすべき役割によりその内容が決定されるものだ。
 
環境対応樹脂が電子写真機に採用されれば、それで環境負荷の低減が可能で、社会に貢献したことになる。コンパウンドのラインができた、すなわち生産技術ができたからといって、それに縛られる必要は無いのである(注)。使命を達成することこそ重要なのである。
 
当時環境対応樹脂と言えばポリ乳酸が代表格でその商品は市場に出ていたが、コストは通常の樹脂の2倍であった。新製品開発の目標に常にCDは存在し、市場でも価格低減は歓迎されていた。このような状況でポリ乳酸など使えないのである。バイオプラは環境対応樹脂の一つであるが、リサイクルも環境対応技術として重要な手段である。
 
市場では、PETボトルのリサイクルPET樹脂が低価格で販売され始めていた。しかし、PETは射出成形が難しく、押出成形やブロー成形で用いられる樹脂である。リサイクルPETが安価といってもそのままでは採用できないので、射出成型できるようにする新たなPETの変性技術が必要となった。まだそのような技術はアカデミアでも研究されていなかった。
 

しかし、知識の活用の仕方の知識がマネジメントであり、成功したてのカオス混合技術を外部のコンパウンドメーカーで活用することにした。半年後無事開発された材料は製品に搭載され、これを最後の仕事に2011年3月11日に退職した。
 
(注)コア技術の重要性がよく言われるが、それは強みであって、ミッション遂行にコア技術をどのように使うのかは戦略となる。コア技術のソフトウェア―部分だけ活用するという戦術となっても良いのである。さらにコア技術にとらわれず新たな技術開発となっても良いのである。

カテゴリー : 一般

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