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2016.02/03 科学者は知識労働者である(1)

科学という哲学を追究する研究者は、知識労働者である。自然現象について、その真理を明らかにするために研究を進める作業ほど面白い仕事は無い。新たに見出された真理からさらに新しい真理が生まれる。その見つけ方のコツがわかると、次から次へと真理を見つけ出すことができるようになる。そして、夢中で未知の自然現象のリベールを行うようになる。
 
ただし、自然界は無限のマトリョーシカであり、この作業は恐らく永遠に続けなくてはならない。物理学の素粒子論を見ればわかる。物質が何からできているのか、を追求していくこの学問で、かつて物質は原子と電子でできているとされた。その成果を利用して成立したのが有機電子論で、それまで錬金術師の流れをくむ職人の世界であった有機合成反応の仕事を科学者の仕事に引き上げた。
 
その結果石油化学の分野は著しい発展をして、その科学の成果を活用し数多くの技術が短期間に生まれた(科学は技術の発展を加速させた。)。また、その新たな技術を利用し、石油化学に携わる科学者は、自然界に存在しない化合物まで生み出すようになった。有機化学だけでなく無機化学の分野も同様に科学の成果を活用し急速な進歩を遂げた。
 
このような電子論に基づく化学が著しい進歩をしている間に物理学者は、原子の中を覗くようになり、原子を構成する素粒子を見つけた。そして見出された素粒子の中をどんどん細かく調べる作業を続け、その作業は現在も続けられている。その過程で日本でも新しい原子を見つけるという成果も生まれているが、この原子が人類にどのように役立つのかは誰もわかっていないらしい(科学は、必ずしも人類に貢献しないかもしれない)。
 
ところで化学は科学の進歩により、錬金術から脱却して科学の一分野となったが、その後科学者だけの努力により発展が続けられたわけではない。技術者も科学の成果を横目で見ながら科学の発展に貢献している。例えば発明王エジソンである。彼は、技術者であるとともに優秀な経営者でもあった。数々の発明で得られた資金でGEを創業している。
 
エジソンの成果はこれだけではない。弟子のアチソンを指導育成し、自然界には存在しなかったSiCという化合物を発明している。このSiCは、科学の時代に科学的に生み出された化合物ではない。あくまでも技術的に創られた化合物で、後年、科学的に解析されてSiCであることが分かり、工業生産されるようになった。そしてその方法はアチソン法として知られ、現在でもSiC生産の一つの方法となっている。(続く)
 
<補足>エジソンは、数々の発明で直接の成果を出しただけでなく、アメリカを代表するGEを設立し、価値への取り組みを行っている。さらにアチソンなどの人材を育成するなどドラッカーの提唱する組織に必要な3つの領域における貢献を行っている。単なる発明王という肩書だけでなく優れた経営者でもあったと思われる。

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