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2016.02/20 企画を実現する(4)

30年間のサラリーマン生活で一番苦労したのは人間関係である。ゴム会社の人事部長は、当方のことをリトマス試験紙に例え、当方を悪く評価する人は悪い人で、良く評価する人は優れた人だ、と指導してくださった。この教えは、ゴム会社で高純度SiCの事業を推進するときに大変役だった。
 
ゴム会社の研究部門以外には、科学者ではなく技術者が多くいて、その方々から多くの助言を頂いた。技術者以外の方からもマーケティングの助言など助けて頂いた。しかし、写真会社では、苦労続きだった。企業風土により、適さない個性がある、と知ったのは、勤務して数年後でやや遅すぎた。
 
写真会社には悪い人ばかりだったのか、というと、そうではなく、風土という抽象的などうしようもない環境の企画に与える影響を当方が知らなかっただけである。この企画に与える抽象的な影響を理解したうえで臨んだ中間転写ベルトのコンパウンド工場建設では、短期間に企画を実現できている。
 
企画を実現するために一番大切なことは、社風とか職場環境とか企業風土という抽象的な事象をよく理解することである。これが抽象的で良く理解できない場合には、徹底的に謙虚な態度で人に接するべきである。
 
しかし、昨日まで傲慢なキャラで生活していて、企画を提案したとたんに謙虚になったのでは、逆に反感を買う。おそらく当方に対する人事部長のアドバイスはその点を読み込んだ上でのアドバイスだったのだろう。かなり遅すぎたが、写真会社で、それに気がついたときに結構落ち込んだ。
 
当方のこのような失敗経験から、企画実現のための大切な具体的なアクションを書くと、企画作成段階から社内の多くの人にヒアリングを行う、となる。自分で十分に理解している事柄でも教えを請えば、相手に好ましい印象を与える。このとき、そんなことも知らないのか、という人がいるかもしれない。それでも我慢して教えを請えば良い結果となる。
 
ある物事について分かっている人からみると、未熟にも関わらず物怖じしない人は傲慢に見えたりするものである。傲慢とか不遜な態度には、人生で未熟にも関わらず物事に対して怖いもの知らずで積極的な人物が受ける誤解も含まれる。一方で相手により傲慢な態度と謙虚な態度を使い分けている、本当に人格の良くない人もいる。組織活動においては、謙虚はプラスの効果があるが、傲慢な態度は誤解も含めマイナスの効果しか無い。
 
だから「君が推進していて大丈夫か」と面前で言われるのは悪いことではない。人生経験からそう言いつつも、そのような人は「あいつの企画を実現させてやろう」ともり立ててくれる人が多かった。多かった、という表現は、そうではなく本当に担当を外すように陰で動いていた人もいた、ということだ。社会とは、そういうものだ。しかし、人の意見や忠告には素直に耳を傾ける、すなわち聞く姿勢を取る限り、周囲には少なからず謙虚に写り、援助者が自然と増えてゆく、これは経験で学んだ真実だ。
 

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