活動報告

新着記事

カテゴリー

キーワード検索

2016.02/25 企画を実現する(琴奨菊の語る勝利の秘密)

本日企画に盛り込む内容を書く予定でいたが、その前に、2月21日のデイリースポーツで、この10年間日本人力士がモンゴル勢に勝てなかった原因について、琴奨菊が面白い話を語っているのでそれを紹介したい。琴奨菊の言葉を記事からそのまま抜粋すると、次のようである。
 
「私たちは相撲道という道の部分で、変化をせず力と力の勝負とか、そういう固定観念がありすぎなのかなと思う。やはり勝負の世界は勝たないと意味がないし、そういうところにもっと貪欲さが足りないのかと。また、横綱でも、変化まではいきませんが、立ち合いで相手の間合いをずらしたりとか、そういうところを見習っていかないといけない」
 
確かにモンゴル勢は勝ちにこだわる。大横綱の白鵬でさえも、合口が悪い相手に変化した立ち合いをすることがある。例えば、昨年九州場所の栃煌山戦では奇手・猫だましを繰り出し、初場所の栃煌山戦でも、立ち合い直後に手のひらを相手の顔の前に突き出すような動きで白星を手にした(この部分一部記事より抜粋)。
 
 記事によると、琴奨菊は続けて、自分が優勝できた要因として、この白鵬らの勝負へのこだわりを学び、生かしたことを挙げている。
 
「今回、私は逆にそういうところを見習って、張り差しとか、相手の軸をずらすとか、ちょっと引いて相手の軸を前にずらしながら下から入るとか、そういうところも考えてやった結果なので、なぜ(白鵬らモンゴル勢が)強いか分かったような気がします」
 
相撲道を尊重するのか勝利を優先するのか。相撲道から外れる技は自粛すべきという考えは尊い。だが、違う価値観を持った相手が上位にいる現実を前にしたとき、琴奨菊のようにプラス面は取り入れて勝利への突破口を開く努力をするのか(すもう道からはずれる)、ドラッカー流に価値感が合わないから日本人は相撲をやめる(すもう道に適合)のか、といういずれかの選択になる。
 
あるいは、勝負に対する価値感の変化を受け入れるのか、昔からの価値感を守るべき、という価値感を尊ぶのか、という選択肢もある。しかし改めて何が問題か、とこれをとらえれば、国技に外国勢力士を認めたときに、相撲というものの再定義をしなかったことだろう。
 
 今からでも遅くないと思うので、相撲協会は新しい時代の相撲の定義と勝負のあり方に関し、再検討すべきではないか。力士が価値感で悩んでいる状態を放置したままではせっかく上昇してきた相撲人気がまたへこんでしまう。
 
 ドラッカーは、働く時に、強みと、仕事の仕方、価値感の問題をいつも考えなければいけないと指摘している。相撲は力士にとって大切な仕事である。時代の変化で、勝負の価値感の異なる力士が現れた大きな問題を放置して将来相撲の発展はない。
 
本日企画の話を書く予定だったが、企画を推進するときの参考として相撲の話題を出した。例えば、これを日本の技術開発の状況に当てはめてみる。ロジカルシンキングにこだわるビジネスプロセスを日本の大相撲とすると、弊社の研究開発必勝法で提案している、ロジックよりもまず成果にこだわる思考法はモンゴル人の勝ちにこだわる相撲として例えることができる。
 
実は、中間転写ベルトのコンパウンド企画を提案したプロセスとその内容にはロジックの正しさなど無く、そのためコンパウンドメーカーには提案をナンセンスとして却下された。その結果をうけて、提案した当方が現場の一担当者として活動し企画を実現する決心をした。きれいな画像の出る現物を見せたところで周囲もそれを許してくれた。ところが、現物の大切な技術成果であるPPSと6ナイロンの相溶がどのように達成されたのか、その論理的説明などは企画書に書かれていない。
 
このケースで正しいロジックの業務の仕方とは、当時実現されていないカオス混合の企画が専門家であるコンパウンドメーカーに否定されたのだから専門家に技術開発をゆだねよ、という判断かもしれない。
 
中古で調達した二軸混錬機を転用しカオス混合プロセスを完成できたところから書き始め、その設備構成と量産立ち上げのスケジュールを述べた企画は、常識的な日本企業の技術屋が見たならば大笑い(注)されるだろう。
 
しかし、その論理性を欠いた企画で大真面目にデザインレビューを行い、審議(注2)を受けて量産立ち上げに成功している。ロジックでは到底説明できない内容だが、ISO9001に則り粛々と各ステージをすり抜けていった。そして量産では10年近く大きな品質問題もおきていない。
 
企画者の心がけるべきポイントは、誠実真摯に組織へ働きかけ、正しい成果を共有することであり、正しいロジックよりも現物が重要である。ノーベル賞を受賞したiPS細胞でもTVで紹介されたように同様のプロセスが行われている。ロジックにもとづくビジネスプロセスがすべてではない。最近軽視されがちな現物現場主義も見直されてもよい。
 
(注)科学の影響でビジネスプロセスにもロジックの厳密さが求められている。弊社の研究開発必勝法では、ロジカルシンキングは一つのプロセスとして扱っている。しかし、弊社のプログラムの大きな特徴は、琴奨菊の説明にあるように、ロジックよりも勝ちにこだわったヒューマンプロセスを重視する点にある。そしてロジカルシンキングほどではないが少しそのためのルールがでてくる。それは難しいルールではなく、自然な考え方である。ロジックは重要である。しかし一番重要なことは、組織に貢献する直接の成果を出すことである。ロジックが正しくても成果が出なければ、それはロジックで成果が出ない言い訳をしているに過ぎない。
(注2)高級複合プリンターの中間転写ベルトという部品は、有害な有機溶媒を用いる溶媒キャスト法で製造されている。環境負荷低減のためにこれを押出成型で製造する技術は、審議に参加していた人たちの夢でもあった。基盤技術のない会社でコンパウンドから開発するという発想やそのような企画を組み立てるロジックは、考えられなかった。そのため外部のコンパウンドメーカーを信じ開発に苦戦していたのだが、目の前に突然現れたコンパウンドを用いたら簡単に品質目標を実現したベルトができてしまったのである。だれもが、工場を早く立ち上げたいと考えた。ロジックではなく汗というヒューマンプロセスで流れを変えたのである。(汗とは、日々の習慣の象徴)

カテゴリー : 一般

pagetop