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2017.03/10 高分子材料(53)

PPS/6ナイロン/カーボンの3成分について混合プロセスを工夫すると、球状のカーボンクラスターが島状に均一に分散した高次構造を持ち、電気抵抗が安定した半導体ベルトを製造できる。

 

しかも押出成形プロセスにおいて引取速度を制御してベルトの電気抵抗を調節することが可能となる。すなわちカーボンクラスターは密着しているのではなく、その島の状態でパーコレーション転移が起きているのだ。

 

これは一種の自己組織化のような現象で、6ナイロンを無理に相溶させたために、ベルト成形過程で少しスピノーダル分解が始まり、特殊なカーボンクラスターの構造が生成したのである。

 

これが妄想かどうかは、PPSに相溶しやすいMXD6というナイロンや、このナイロンと6ナイロンを等量添加した系などで同様の実験を行うと、それぞれでカーボンクラスターの大きさが変化し、それがχの影響を受けていることなどが観察された。

 

高分子学会賞審査会でもこのあたりを説明しているが、審査員にはあまりその面白さが分かってもらえなかった。ご興味のある方は問い合わせていただきたい。

 

このあたりの技術は材料技術として応用範囲が広く、経済産業省のサポインなどにも応募したが採用されず、日本ではこのような技術は評価されないと思い、中国のローカル企業の指導ネタとして利用し細々と実績を上げている。

カテゴリー : 高分子

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