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2017.06/05 山本尚先生の御講演(1)

3日(土)に山本先生のご講演を拝聴した。時間を間違えて30分程遅刻したので、空いていた最前列に座ることになった。偉い先生のご講演であることはこの空席の状態から理解できたが、遅刻して一番前に座らなければならない事態で学生時代の授業を思い出した。

 

ところで福井大学客員教授を勤めさせていただいたとき、授業では後ろの席と前の席が詰まり真ん中ががら空き状態だった。前の席を占拠していたのはすべて留学生だった。このとき大学の授業で後ろから席が詰まるのは日本人特有の習性と知った。

 

遅刻したので最初の30分を聞き逃したが、inventionとinnovationについて説明しているスライドが映し出されていた。基礎という新しい学理から純正研究を進めてゆくのが発明とか創意で、これは理学であり、順問題を解くことになる。応用研究から基礎という新しい学理を追求するのは工学であり、逆問題を解くことになる。そしてこれがイノベーションを引き起こすと説明されていた。

 

途中から伺ったので意味不明だったが、その次に、アカデミアの研究構造と称して上田良二先生が考えられた四象限模式図を用いて説明された。

 

研究には社会に役立つ「応用」研究と自分の探求心から行う「純正」研究があるという。そして、会社で行われる研究は、既存の学理による「末梢」研究であり、当面役に立たないような「純正」研究は、未知の学理を求める「基礎」研究から生まれると、四つの象限を説明された。

 

すなわち、第一象限には「純正」、第二象限には「応用」、第三象限には「末梢」、第四象限には「基礎」と書かれたスライドが映し出されていた。inventionとinnovationとを説明したスライドと同じような説明をされているようにも聞き取れたが、現在のアカデミアの99%が「末梢」に基礎を置く「純正」研究と説明された点は、非常に的を得ていると思った。

 

すなわち99%の大学は、「末梢」研究を基に「純正」研究を行っているという。残り1%の大学だけで「基礎」研究から「応用」研究を進めており、これが重要で、この流れだけが破壊的イノベーションを引き起こすという。

 

この説明は理解しやすく、アカデミアの現状を憂慮されているお気持ちが伝わってきた。そのお気持ちから企業へのお願いとして、真のボトルネックとなる課題をアカデミアへ提示していただきたい、と述べられていた。

 

すなわち、産学連携によりアカデミアの研究が影響を受けたり、TLOがなぜうまくゆかないのか等わかりやすくご説明され、大学の真の役割は共有価値の創造(Creating  Shared  Value)と一つの結論を講演の中盤で提示された。このことで、前半産学連携におけるアカデミアの問題を話されていたのだと想像できた。

 

偉い先生のご講演に遅刻し失礼をした以上は、一生懸命理解する覚悟で拝聴したが、アカデミアの深刻な問題の構造を考えることになり、後半に話された先生の御研究までもその延長の感覚で聞いていた。

カテゴリー : 一般 学会講習会情報

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