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2017.11/27 高純度SiC前駆体の合成方法

高純度SiCの経済的な製造方法は、ポリエチルシリケートとフェノール樹脂を用いる前駆体法だ。これらの原料の高純度品は価格が安く、これらの原料が反応した前駆体から製造されたSiCは精製しなくても高純度である。

 

ところで、この二つの原料をどのように均一に混合し、前駆体を合成するのか。30年以上前に無機材質研究所から出願した基本特許には詳細な説明を書いていない。

 

高分子に詳しい人が実施例を読めばリアクティブブレンドであることに気がつくはずであるが、これを実際に行ってみると、ポリウレタンのリアクティブブレンドよりも難しい。

 

なぜなら、混合攪拌した材料がすぐに相分離し不均一な前駆体しかできないからだ。それでもSiC化の反応でカーボンを大量に残す覚悟があれば、このような不均一な前駆体でも高純度SiCとカーボンの混合された粉体を製造可能である。

 

しかし、化学量論的に均一にSiC化の反応を行いたいときには、ポリエチルシリケートとフェノール樹脂の反応が均一に進行するリアクティブブレンドで製造される前駆体を用いなければならない。

 

以前この欄で、この前駆体合成ルートについて試行錯誤で求めた、と書いたが、試行錯誤でもむちゃくちゃに実験していては反応条件を見つけることができない。試行錯誤には、うまいやり方があるのだ。

 

試行錯誤は、非科学的とされるが、ラテン方格を利用した実験計画法やタグチメソッドもある意味試行錯誤である。すべての実験を行う代わりに統計科学的に均等に任意の実験条件をラテン方格を使って選び、最適条件を求めている。

 

これ以外に、過去の形式知や経験知を活用し試行錯誤を効率的に進める方法がある。戦術図と戦略図を使う弊社の方法である。形式知はすべて正しい、とされているが、形式知には、ある特殊な条件でのみその真が保証されたものがあり、条件が外れたときに成立しない場合がある。このとき新発見が生まれる。

カテゴリー : 電気/電子材料 高分子

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