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2017.12/18 高分子の難燃化技術(4)

前回まで当時の様子を書いてきたが、高分子の難燃化技術について誰かに指導を受けたとか、テーマ担当前に特に勉強をしたとかいう機会はなく、いきなり実戦で戦った状態である。

 

樹脂補強ゴムについては、技術の神様のような指導社員のおかげで、毎朝座学で午後実験という大変恵まれた日々だったが、難燃性軟質ポリウレタンフォームの開発では、美人の上司に仕え、ただ一生懸命頑張る以外に道はなかった。

 

当時なぜ当方が始末書を書かなければいけないのか疑問にも思ったが、それでやる気を無くすと言うよりも上司の「頼りにしてる」という一言で次の目標を提案するぐらい前向きで活性が高くなる日々だった。

 

この上司のもとで高純度SiCの最初の企画「高分子から高純度セラミックス」を立案しているが、多くの新しいアイデアがわき出てきたのは、若さゆえに職場環境の影響を受けて活性化された能力のおかげである。

 

そして、特に誰かに指導されるというわけでもなく、「デキル男」を目指し、マラソンの川内選手のように、ただひたすらがむしゃらな努力で開発を進めてゆく過程で高分子の難燃化技術の極意を自然に体得した。

 

美人の上司は、溶融型の難燃化システムによる軟質ポリウレタンの開発が主担当業務だったが、これをお手伝いできた影響も大きい。

 

高分子の燃焼とは急激な酸化反応だが、これをモデル実験で定量化することは困難である。しかし、溶融型では、溶融エンタルピーを見積もることができ、溶融による吸熱を考察することでその難燃化現象を見える化できた。

 

代表的な高分子の難燃化システムである炭化促進型システムと溶融型システムの実際について同時に評価し研究を進めることができた。さらに新製品の開発と高分子の難燃化研究がコンカレントに進行したので、大変に勉強になった。

 

新入社員故に残業代無しで、あいかわらずの過重労働という大変な毎日ではあったが、この苦労のおかげで両方のシステムの特徴を十分に理解することができた。高分子の難燃化技術の獲得は、まさにOJTの賜である。

 

 

カテゴリー : 一般 連載 電気/電子材料 高分子

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