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2018.01/18 高分子の難燃化技術(8)

三酸化アンチモン微粉と塩ビ粉の難燃剤システムには、軟質ポリウレタン発泡体に使用したときに難燃剤が沈殿する問題があった。これ以外に、分散不良であると難燃性能が著しく低下するという扱いにくいシステムだった。

 

当時セラミックスフィーバー直前であり、セラミックス粉体の微粉化技術が進歩していた。三酸化アンチモン超微粉や表面処理した微粉などの売り込みがあり、当方はそれらを評価する担当だった。

 

この時面白い現象を発見した。三酸化アンチモンの粒径に難燃性能が依存し、さらに粒径が小さくなりすぎると難燃性が低下するという現象である。

 

この現象は、粒径が小さくなりすぎると凝集しやすくなり、その凝集体が一度できると工程で採用されているような分散システムで再分散できないからと説明可能だが、超微粉を塩ビ粉と前処理したりして凝集粒を小さくする努力をしてみても、データに影響は無かった。

 

このシステムについては、ハロゲン系化合物についても検討を加えた。フッ化ビニリデンとの組み合わせには難燃効果が現れなかったが、低分子臭化物との組み合わせ効果は塩ビ並み以上の効果が観察された。

 

1990年代に臭素系難燃剤が数多く登場しているが、三酸化アンチモン粉と組み合わせることで高い難燃効果が得られる。また、塩ビ粉のように沈降の問題も無い。

 

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カテゴリー : 高分子

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