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2018.02/05 高分子の難燃化技術(10)

高分子材料の中には、耐熱性が高く難燃性の優れた高分子が存在する。例えばPPSは難燃剤を添加しなくても空気中では自己消火性を示す。ゆえに電子機器に普及している。

 

耐熱性が高ければ難燃性も優れているかというとそうではない。耐熱性が優れていても可燃性の高分子が存在し、さらに基本的な骨格(一次構造)は難燃性がありそうに見えても製造プロセスにより高次構造が変化すると一気に燃えやすくなる高分子も存在する。

 

例えばフェノール樹脂は、硬化触媒の種類や製造条件で、LOIは30以上から19前後まで変化するから要注意の高分子材料だ。

 

40年近く前、初めてレゾール型フェノール樹脂発泡体を合成してびっくりした。ポリウレタン並みによく燃えたのだ。しかし、熱分析すると窒素中の耐熱性は高い。空気中の耐熱性はポリウレタン並みである。

 

自主研究でいろいろと調べ、ある結論にいたり、フェノール樹脂とポリエチルシリケートの相溶した高分子を発明したのだが、これは高純度SiCの前駆体として発展した。

 

小生が講師をする高分子の難燃技術の講演会では、これまでこの周辺技術を話してこなかったが、次回の講演会ではフェノール樹脂の難燃性について経験知としてお話する。論文にも公開されていない話である。

 

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2月13日に高分子難燃化技術に関する講演会(弊社へお申し込みの場合には参加費30,000円)を行います。詳細は弊社へお問い合わせください。経験知伝承が第一の目的ですが、形式知の観点で整理したデータも使用します。形式知のデータは、30年以上前高分子学会や無機高分子研究会、高分子の崩壊と安定化研究会で発表した内容です。経験知につきましては、中国ローカル企業を指導しながらその再現性を確認した結果で、樹脂の混練技術も講演会の中で説明致します。高分子の知識が無い技術者でもご理解いただけるよう、テキストには初心者用の説明も付録として添付します。形式知よりも経験知の進歩が著しい分野です。

カテゴリー : 高分子

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