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2018.02/23 ドラッカーの遺言(9)

平昌オリンピックはメダルラッシュで毎日感動の連続、心臓が心配になってきた。これだけ感動が多いと毎日オリンピックの話題ばかりになってしまう、と思いオリンピックについて書くのを意識的に控えてきた。しかし、スピードスケートのパシュート女子金メダルについて企業の組織について参考になると思い本日取り上げた。

 

この金メダルの価値は、個人の能力ではすべての選手をメダリストで揃えたオランダチームと比較すると日本チームが劣っていたところにある。多くのマスコミも競技終了直後から300日以上日本チームは全員一緒に練習していたことを勝因として取り上げていた。そこで醸成された日本独特の交代方法はじめスポーツ科学の成果については、ニュース報道を見ていただきたい。

 

この欄では、高木美帆選手をリーダーにしてまとまり、メンバー4人それぞれの能力を引き出した組織力について取り上げてみたい。ドラッカーは著書「企業とは何か」の中で、組織が繁栄を続けるには、組織内の人間が、自らの能力を超えて成長できなければならない、と述べている。

 

パシュート女子の日本人選手は、まさにこれを実践したわけで、自らの能力を超えることにより、自分たちよりも優れた能力を持つ選手を揃えていたオランダチームに勝ったのである。「つまるところ組織にとっては、リーダーを育てることの方が、製品を効率よく低コストで生産することよりも重要である」とも同著に書かれているが、高木美帆選手はチームにより優れたリーダーに育成された。

 

「待って、待って」と姉に言われスピードを落としたシーンは、同競技で報じられた韓国チームの醜聞と比較すると、とっさにできる行動ではないことに気がつく。パシュートという組織の側面を持った競技の特徴をそしてそのリーダーの自覚を持っていたからとれた行動だろう。

 

パシュートという競技は、全員が最低一周先頭を走らなければいけない、というルールがある。このルールゆえに、組織で例えると分権制のような問題をチーム内に抱えることになる。しかしこのルールで考えなければいけないのは、最も優れた選手が最も長い時間先頭を務める自覚を求められる点である。さらに先頭には後尾を務める選手への配慮が必要なルールもある。

 

まさにパシュートは組織を具現化したような競技で、日本女子チームの金メダルは、リーダーがとるべき行動と、組織がうまく機能すると個人の能力を最大限引き出し成果に結び付けられることを見せてくれた。これは、マネジメントの使命である。

 

カテゴリー : 一般 連載

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