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2018.03/09 カオス混合装置の発明(5)

ロール混練ほど不思議な混練装置は無いだろう。二本のロールが回っているだけで混練が進行してゆく。ロールの表面はつるつるであり、ロールの回転速度差とロール間隙により、混練で必要な剪断流動と伸長流動が制御されている。

 

もし二軸混練で不満があれば一度ロール混練で材料を処理してみることをお勧めする。55%もパルプを含有した樹脂パルプ複合材料を開発した時には、ロール混練でPS並みの射出成型性を有した材料を開発している。

 

ロール混練は生産性は悪いが、二軸混練機などの連続式混練機では得られない混練レベルのコンパウンドを製造可能である。ゆえに指導社員はカオス混合の発明は混練の世界に革新をもたらす、と説明されたのだった。

 

指導社員は、ロール混練について形式知の観点から指導してくださったが、技能指導をしてくださった年配の方は経験知をいろいろと教えてくださった。二人の指導内容を比較すると科学の知識が無ければ技術が出来上がらない、という考え方が誤解であることに気がつく。

 

科学的ではない思考方法でも技術が創りだされ、技術によって生み出された人工物に含まれる知識は科学がもたらした物である、というのは科学の時代の俗説というファーガソンの言葉を理解できる。

 

当方の発明したカオス混合装置はロール混練の機能をそのまま実現しただけの非科学的装置だが、中間転写ベルトの開発や樹脂の難燃化技術などで十分な成果を生み出した。

カテゴリー : 一般 高分子

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