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2018.10/02 高分子の混練(1)

本庶先生に触発されたわけではないが、教科書を疑うことの必要を少し連載で述べてみたい。まず、高分子の混練技術について良い本が無い、というのが正直な感想である。設備屋により書かれた書物には二軸混練の実務で誤りを犯す危険のある書籍も存在する。また、間違いと言ってもよいようなことまで書いてある。

 

すなわちこれは実務に使えない教科書だ。そのような教科書の内容で頭がいっぱいになった技術者と議論し、らちが明かないので結局自分で混練のあるべき姿を追求し、数か月で二軸混練のプラントを稼働させて、中間転写ベルトの押出成形技術を開発した話を以前書いている。

 

この時二軸混練機を使うのは初体験のことであり、スクリューのセグメントを自由に取り換えることができることを知り感動している。なぜなら前任者から引き継いだ押出機ではスクリューは一本の金属棒からの削り出しで作られていたからだ。

 

前任者は長年押出成形だけを開発しており、スクリューの構造については自信を持っておられた。この前任者のすすめてきた開発方針をすべて見直し、中間転写ベルトの押出成形を成功させたい、それを実現するためには自分のできることだけでなくあらゆる可能性も含め何をやらなければいけないかを真摯に考えた。

 

その結果世の中のコンパウンド技術が教科書通りに発展しているので、それでは技術開発の成功は無いと判断し、外部のコンパウンダーに技術コンセプトの変更をお願いしたら「素人は黙っとれ」と言われた。

 

そこで、コンパウンドを外部から購入し、成形技術だけを開発していたスタイルをやめて、コンパウンド開発から成形技術開発まですべて行うスタイルに変更したのだ。

 

開発期間が1年もない中で、これは勇気のいることだが、ゴム会社の指導社員から指導された哲学、「混練はこのようにすべき」、という強い思いがあったからできたことだ。

 

これは自信ではない。ゴム会社の指導社員の哲学とその知識を信じての決断である。相撲道を追及して相撲協会を飛び出した貴乃花親方には及ばないが、ゴム会社の指導社員が目指していた混練道を少しこの欄で書いてみたい。

 

そもそも現在の二軸混練機は、豚肉や牛肉の加工機を元に発展してきた装置であることを知っておいてほしい。すなわち高分子のあるべき姿を追求して考え出された装置ではないということだ。

 

高分子に添加剤を混ぜるのによい機械が無いかと探したら、ミンチを大量生産している良い機械があったのでそれを改良して作り出されたのが二軸混練機である。

 

ハンバーガー程度であれば多少の混練機の違いで味が変わることは無いが、高分子のブレンドは、スクリューセグメントも同じで同じ型番の二軸混練機を用いても、レオロジー特性を評価すると異なる場合が出てくる微妙な技術である。

 

繊細な感覚の持ち主でなければわからない、というものではなく、射出成形体のばらつきとなって現れるから、誰でも気が着くはずだ。誤った内容が書かれた教科書で頭が満たされた技術者には、頭の中の知識でその感覚を阻害されたりする。頭の中が空っぽだった当方は混練技術者との議論の内容のおかしさにすぐ反応できた。

 

 

カテゴリー : 高分子

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