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2019.09/03 高分子のプロセシング(39)

フローリー・ハギンズ式の変形などは省略しているので、関心のある方は、該当する専門書を読んでいただきたい。

 

 

しかし、ここで伝えたいのは、Flory-Huggins理論というものが、格子モデルに基づいており、Flory-Hugginsパラメーターχが、エンタルピー項とエントロピー項の和になっている点を式から読み取っていただきたい。

 

 

また、二次元の格子モデルから導かれているので、混合物においてコンフォメーション分布の変化を考えていないことや、二成分混合系においてモノマー単位の相互作用変化は、A鎖、B鎖のすべての単位に対して一定値の平均場の変化として捉えていることに注意する必要がある。

 

 

これは、混練プロセスで発生する現象としてありえないことである。しかし、現在のところ二成分の高分子混合系に関する状態変化の形式知については、混練で起きる現象と合っていなくても、この理論に頼らざるを得ない。

 

 

χについて知っておくべきことをまとめると、先ほど述べたエンタルピー項とエントロピー項の和になっている、といった重要ポイント以外に

(1)1/Tと相関する、

(2)混合の必要条件はGibbs自由エネルギーが減少すること、

(3)正の値の時には非相溶となる、

(4)負の場合にだけ混合する、

(5)溶解度パラメータ、δ、δで表すと

              χ12=(Vr/RT)(δーδ2           Vr:モノマーのモル体積 

といった点である

 

以上はFlory-Huggins式の概略であるが、この式はかなり大胆な仮定の上に成り立っている式であることを忘れてはいけない。混練を考えるときには、χの本質が自由エネルギーであることを覚えているだけでもよいような形式知である。

カテゴリー : 高分子

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