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2020.04/03 負の誘電率

負の誘電率については1967年にロシアの学者ヴェセラゴが予見しているが、科学の形式知では誘電率や屈折率は正の数で取り扱う。

 

しかし、最近このような負の誘電率を示す材料はメタマテリアルとして研究が活発に行われるようになった。

 

また、特許も出願されるようになってきたが、PPS/6ナイロン/カーボンの配合でカオス混合を用いてコンパウンドとし押出成形でフィルムを製造した時にメタマテリアルが偶然できて困った経験がある。

 

また、PETフィルム表面に300nmほどの膜厚で形成した酸化第二スズゾル薄膜、すなわち写真感材の帯電防止層だが、この薄膜でも面白い発見があった。

 

このマトリックスにはアクリル系ラテックスを用いており、酸化第二スズゾルは18vol%添加され、パーコレーション転移を生じた黒いネットワークの電子顕微鏡写真が観察された。

 

このフィルムをアルカリ性と酸性の水溶液へ連続的に通過させたところ、フィルムは負の誘電率を示した。

 

たばこの灰付着テストとインピーダンスとの相関を調べていて発見した現象だが、あまりのキワモノデータなので、インピーダンスを絶対値として扱い処理した。

 

面白いことにインピーダンスの絶対値とタバコの灰付着距離とは相関しただけでなく、パーコレーション転移の現象との関係も見出すことができた。

 

パーコレーションとインピーダンスとの関係について、福井大学客員教授時代にモデルを立案し数値計算でモデルの妥当性を確認しているが、そこでの計算ではあくまでも誘電率は正を前提に証明している。

 

科学の研究として実施したためだが、ときとして科学は自然の現象を排除する不気味さを体感した。

 

自然界を理解するために科学は重要であるが、それで自然界のすべてを語れるわけではない。これは女心を永遠に理解することは難しい、という文学的な意味ではなく、技術者が心がけるべきことだ。

カテゴリー : 高分子

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