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2020.04/08 技術と科学

昨日緊急事態宣言が出された。今世界主要国で台湾と日本だけが感染爆発をしていない。また、日本の取り組みは世界と少し異なることがニュースで報じられている。

 

ところで、日本のウィルス感染対策は、実務における問題解決の参考になる。なぜなら、最初から「ウィルス感染による死亡者数を少なくする」ことをゴールに設定し活動しているからだ。

 

科学では、まず仮説を設定するが、技術では製品の仕様を決めるところがスタートである。すなわち、これは開発目標でありゴールだ。

 

さらに技術が科学と異なるところは、仕様を実現するための機能に着目する。コロナウィルス対策では3密回避という機能が重視されている。

 

機能を明確にするために解析する必要があれば、現代ならば科学を活用できる。また、機能の実現のためにすでに明らかとなった科学の形式知を利用できるかもしれない。

 

ここで「かもしれない」と書いたのは、科学の形式知をいつでも利用できるとは限らないからだ。

 

例えば、科学の形式知を組み合わせていては二律背反となる場合である。今回のウィルス対策では経済活動と二律背反の事象を生み出す。

 

このような場合に、技術では試行錯誤で機能を実現しようとする。3蜜を繰り返し提案したり、若者の行動制限や夜の街起因説など試行錯誤の結果だろう。

 

もちろん科学同様に論理を活用してもよいが、論理的に二律背反となっている状態を論理で解決できる、というのは矛盾である。

 

ゆえに、どうしても試行錯誤なり経験知なり非科学的手段を採用しなければいけない場合に技術開発では遭遇する。

 

日本のウィルスバスターは、日々報告される感染者数を数値解析し対策を練っているのだが、この2ケ月の間に対策について試行錯誤の結果と思われるニュースが報じられている。

 

試行錯誤を非科学的だという理由で間違っている、と決めつけるのは、人類が紀元前からその営みの中で技術開発してきたことを理解していない人達だ。

 

例えば、今日のニュースで京都大学医学部の研修医40名近くが会食をしていたので隔離された、というそのまま聞いていると信じられない事件が報じられた。

 

京都大学医学部ならば科学至上主義の集団がいてもおかしくなく、恐らく彼らはわけがわからず会食していたのではなく、現在日本で行われている取り組みについて軽蔑していた可能性がある。

 

また、慶応大学医学部では、同様に科学を体得した研修医が会食を行い、名前こそ公開していないが18人の感染者を計上している。

 

これだけ世間で壇蜜ならぬ3蜜を防ごうと努力しているのに、彼らが、それを理解できないアホの集団に思えないのだ。

 

かつてゴム会社の研究所には技術を軽蔑する科学第一主義の実務家も稀にいた。また、技術を重視する風土のゴム会社にいや気がさし、信州の会社へ転職した同期もいた。

 

もし、これらの事件が、ゴム会社で見かけた科学第一主義者による技術に対する挑戦行為ではないとしたら、彼らは正真正銘のアホだろう。

 

彼らが本当のアホならば、日本の医学の未来を考えたときに背筋が寒くなる。いずれも日本を代表する医学部だからだ。やはり技術に対する科学の挑戦と捉えたい。その結果の18人の英雄である。名前を公開しても良いではないか。

 

今、最前線の医療従事者がウィルスとの戦争状態であることが連日ニュースで報じられているのだ。先輩諸氏の苦労に報いるために、18人は身をもって3蜜の危険性を国民に知らせたかったのだろう。

 

カテゴリー : 一般

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