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2020.04/22 高分子の融体

高分子を加熱すると流動性を示すようになる。未加硫ゴムならば加熱しなくても室温で流動性がある。

 

この流動性を示す温度は、カタログにはTmで標示されるが、Tm未満の温度でも高分子が流動性を示すことを御存じない方が多い。

 

Tm未満における高分子の流動性については、改めて説明するが、とりあえずTm以上に晒された高分子の流動性について考えてみる。

 

この状態における高分子融体の物性については、粘弾性測定装置で計測するのが一般的で、多くの高分子では再現よく物性測定される。

 

ただし高分子の中にはその再現性が乏しい場合もある。また、その再現性がわずかな測定条件のばらつきに依存するのではなく、材料の製造ロットにより影響を受ける場合がある。

 

高分子の製造ロットに依存して粘弾性がばらついているときには、製造ロット間の差異を分析し、その原因を探ることになるが、この時、ロット内のばらつきがさらにロット間に依存しているときには話が複雑になる。

 

そもそも高分子融体の物性ばらつきは、高分子の一次構造の性質と絡み合いに大きな原因がある。

 

分子量分布は高分子の一次構造の性質の一つとして考えているが、一次構造の性質として分子量分布の寄与が大きい場合と小さい場合が存在する。

 

分子量分布についてはGPCでその差異を確認できるが、その他の一次構造情報について完璧に収拾するのはコストがかかる。

 

射出成形では、高分子融体のばらつきの影響は小さいが、押出成形では品質問題として現れたりする。

 

カテゴリー : 高分子

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