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2020.07/23 クリープによる変形を修理

アコースティックギターの取り扱いにおいて、演奏後はギター弦を緩めておくことがギター本体のために良い。

 

確かにギター弦を緩める行為は、ギター弦の寿命を短くする。特に1-3弦が切れやすい。しかし、ギター本体を傷めないためには緩めて保管する習慣をつけたい。

 

ちなみに、ギター弦を張りっぱなしにしておくとブリッヂが常に引っ張られる状態となり、表板に応力がかかってクリープが発生する。そしてブリッヂ下部部分が膨れてくる。

 

5年ほど張りっぱなしの状態で放置したら膨らんだギターの下腹部がそのままになった。それでも12フレットにおける弦高は3mm以下だったので、まだ弾くことはできたが、その後演奏後は緩めておいて10年近く放置したら、12フレットの弦高が3mmを超えていた。

 

この高さになってくると、5フレット以下を押さえるときに指が痛くなるので修理が必要となる。そこで先週から膨れたギターの下腹部を6本の棒で傷がつかないように抑え込み、少しずつネジを締めて行った。

 

昨日6本の棒を外し、状態を確認したら、12フレットの弦高は3mm以下となっていたが、10分後にはギター下腹部が少し膨らみぎりぎり3mmとなった。

 

半日放置しても弦高は3mmと変わらなかったので、再度棒でギターの下腹部を締めあげ、放置して2週間後にもう一度確認してみようと思う。

 

ギターのブリッヂ下の膨らみは、表板やその裏に貼られた力木のクリープ変形であり、それは修理可能である。また修理しないで放っておくと、おそらく最後はひび割れを起こすと思われる。

 

さて、ギター弦を緩めておいたのに、なぜクリープが進んだのか。これは緩める量が少なかったからだ。WEB情報では、チューニングペグを二回しほど緩める、とあるが、これでもまだブリッヂに応力がかかった状態である。

 

面倒でもほとんど応力がかかっていない状態まで緩める必要がある。特に長期保存するときには、弦を外しておいた方がよい。

 

WEB情報には、ネックのためには弦を張っておいた方が良いとも書かれているが、トラスロッドでネックのそりを治せるが、ブリッヂ下方のクリープ変形は、結構修理が面倒である。

 

中年のぜい肉を落とす苦労と同じくらいに考えた方が良い。ギターを壊さないようにクリープ変形を修理するというのは難しい作業である。生まれて初めての作業ではあるが、クリープという現象を理解しているので、何とか作業が進んでいる。

 

同じ悩みを持たれている方はご相談ください。アコースティックギターのブリッヂ下部の膨らみは、進行するとひび割れ(クリープ破壊)を起こす可能性がある。早めの対処がギターを壊さないためには重要となってくる。

カテゴリー : 一般

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