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2020.09/11 高分子の誘電率制御(3)

シリコーンオイルに傾斜機能粉体を分散した電気粘性流体の比誘電率は100Hz前後で10程度であり、強誘電体である。

 

高周波数領域では誘電緩和速度が遅いためにシリコーンオイルの誘電率に近い3前後まで低下する。

 

これは低周波数領域では、粒子の分極速度が十分に早く双極子対が形成されクラスター形成に至るが、高周波数領域ではシリコーンオイルの粘度もあり、見かけ上誘電緩和が遅くなるため、と推定される。

 

電気粘性流体についてはバブルがはじける直前に研究のブームがあり、そのレオロジー特性は十分研究されたが、電気的性質に関しては、多くない上にデバイス設計上のノウハウとして公開されていない。

 

電気粘性流体では、半導体を高分子オイルに分散し、電場がかかった時に生成する半導体粒子の双極子対で強誘電性となったが、それは低周波数領域だけの現象だった。

 

ペロブスカイトのような強誘電体を分散すると高周波数領域まで誘電率が高い電気粘性流体となるが、電気粘性効果は小さかったり応答性が悪かったりと、性能が悪い流体となる。

 

面白いのは、強誘電体の添加率を増やしてゆくとパーコレーションが観察される現象である。これはポリウレタン樹脂で実験した結果であるが、ペロブスカイト粒子を体積分率で10%程度まで添加すると、高周波数領域の誘電率は上がってゆくが、15%では下がる現象が観察された。

 

高分子の誘電率を制御しようとしたときに、周波数依存性や温度依存性、不純物の影響などややこしくて難しい問題が存在する。詳細は来週技術協会主催で開催されるセミナーでお話しします。開催日等についてはお問い合わせください。日にちが迫っていますので弊社へ申し込んでいただいても結構です。

カテゴリー : 高分子

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