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2020.09/25 高純度SiCの発明(1)

セラミックス材料を高純度化する技術はコストがかかる。なぜなら結晶に固溶した不純物を取り除くために一度結晶を壊す必要があるからだ。

 

SiCであれば、BやAl,その他遷移金属は容易に固溶する。これら不純物を除去するには、昇華と再結晶を繰り返さなければいけない。いわゆるレイリー法である。

 

高純度原料を用いて高純度プロセスにより製造すれば、高純度セラミックスができることは、だれでも容易に想像できるが、レイリー法と比較して経済性が優れているのか、という検証は容易ではない。

 

それができたとして、価格を比較することは容易だが、実際にできるのかどうか、すなわち実証実験に費用がかかるからだ。

 

1980年代に高純度SiCの原料として、C(炭素)源は、高純度カーボン、有機物が、Si源は高純度Si,高純度SiO2、有機Si化合物、有機シリケート化合物が知られていた。

 

そして、これら原料の組み合わせ特許とそれを原料として製造する方法の発明がミカンの段ボール箱で15個分出願されていた。

 

このミカン箱の個数は、ゴム会社の知財担当の部長が当方に整理するよう送ってきた個数である。当時はデジタル化されていなかったので、20年分の関係する特許のコピーをこのように集めてそれらを整理することから技術開発をはじめていた時代である。

 

留学中毎朝テニスを一時間、夕方はボールが見えなくなるまでテニスをしてます、と日常を語ったことを後悔したが、段ボール箱15箱を2週間で整理している。

 

整理した結果は、どんぶり調査(ざる調査ではない)の結果と同様であり、エチルシリケート(ケイ素源)とフェノール樹脂(炭素源)の組み合わせ特許が存在しなかった。

 

エチルシリケートと他の炭素源の組み合わせや、フェノール樹脂と他のケイ素源の組み合わせ、並びにそれらを原料とした製造プロセス、応用技術に関する特許はミカン箱2箱分存在した。ただしSiCの製造方法に関係しないノイズ特許もこの中に含まれている。

 

カテゴリー : 一般 電気/電子材料

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