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2020.11/21 技術者の解放(8)

界面活性剤の機能について教科書には、親水基と疎水基の比率を用いたHLB値というパラメーターで議論するとよい、と書かれているが、同一HLB値でも異なる界面活性効果のあることについては触れていない。

 

また、水の中に油を分散した場合に用いる界面活性剤(O/W型)と油の中に水を分散した場合に用いる界面活性剤(W/O型)の存在について触れている教科書もあれば、触れていない教科書もある。

 

ひどい教科書になると界面活性剤について水の中に添加してミセルを形成する話だけしか書いてないものがある。このような教科書しか書けない大学の先生は研究者として失格である。

 

現実をもっと勉強すべきだが、現実を知らないことを自慢する学者もいたりするので厄介である。昔ならば隠遁生活の研究者はそれなりに価値があったかもしれないが、現代において研究が社会に及ぼす効果を自覚していない研究者は、公的機関の研究者として好ましくない時代となった。

 

企業でも同様で、事業にどのように役立つのか検討せず研究に没頭する研究者をそのまま放置していては損失を生み出す。40年の研究所生活で見てきた経験を言えば、そのような研究者は善良そうに見えるけれども何かしら問題を抱えている人が多かった。

 

ゴム会社で当方のFDを壊した犯人も日常では少し変わった程度の人であったが、社会感覚の少しずれた発言が見られた。

 

このような人にひどい目に遭ってみるとその恐怖を理解できる。これは経験しないとわからない恐怖である。当方が転職してから、「あの人はおかしい」と言ってきた人がいたが、日常の生活でみかけ無害の人である。

 

界面活性剤ではないが、科学を道具として用いるという社会とのバランス感覚は重要である。17世紀以降に科学は生まれており、連綿と続く人類の経験知の蓄積である社会生活とは、まだ完全な融合がなされてない。

 

科学一辺倒であった教育界にようやくプログラミング教育という非科学の世界に少し触れられるカリキュラムが用意された。ようやく科学の形式知と非科学的な経験知や暗黙知の重要性に気付くきっかけを日本社会が提供し始めたのだ。

 

1980年代に科学に対して批判的な著書が多数現れたが、バブル崩壊とともに忘れられたようだ。あれから40年経ってようやくプログラミング教育の導入である。この教育で科学以外の問題解決の道具を学んでほしい。

カテゴリー : 一般

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