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2020.12/20 アイデアの出し方(9)

特公昭35-6616を取り寄せて読んでみたところ、パーコレーションをにおわせるグラフが書かれていて感動した。また、出願人が小西六工業であったことも感動した。

 

 

この特許を書いた技術者について調べてみたりしたが、そこからこの企業の抱える問題が浮き彫りにされたが、ここでは触れない。アイデアの出し方に焦点を絞る。

 

 

この特許についてパーコレーションの視点で読んでみると、非晶質酸化スズゾルは、球状の粒子ではなく棒状の可能性が高く、導電性も10の3条Ωcmであることが見えてくる。これが温故知新である。

 

 

古きを訪ね、新しきを知る、とは、古い特許データを新しい形式知の視点で眺めてみるということだ。温故知新により、パーコレーションを制御する技術を開発すれば、酸化第二スズゾルを帯電防止層として使える、というアイデアが閃いた、というよりも、当然の結果として導かれた。

 

 

もし「パーコレーションについてスタウファーの教科書を読んでいた」ら、特公昭35-6616のデータを見て、誰でも同じことをするだろう。問題は、スタウファーの教科書を読んでいたかどうかである。あるいは、パーコレーションという古典的形式知を知っていたかどうかである。

 

 

新たな特許出願を済ませた1993年の日本化学会春季年会で酸化第二スズゾルの導電性とパーコレーションについて発表したら意外にも会場で大うけした。その後この技術は実用化され、日本化学工業協会から技術特別賞を頂いたが温故知新の成果である。

カテゴリー : 一般

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