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2021.04/27 混練機

高分子材料技術において混練機は、技術者にとって何かと悩ましい装置の一つである。さらにこの装置について正しくわかりやすく説明できる技術者は少ないと思う。教科書さえも視点を変えると嘘が書かれていると言いたくなるような記述がある。

簡単そうに見える色材の分散でもばらつきを抑制するにはそれなりの技術が必要で、ポリマーブレンドあるいはポリマーアロイになると混練機の選択の段階から物性に影響する。

樹脂材料は二軸混練機で混練するのが当たり前、と思っている人が多いが、ロール混練やバンバリーあるいはニーダーで混練してもよい。ただこれらの混練機では生産性が悪くなる。

生産性は悪くなるが、二軸混練機では絶対に得られない物性の材料ができることがある。PPS中間転写ベルト用コンパウンド開発を担当した時に、バンバリーでコンパウンディングし、電気抵抗の面内ばらつきが極めて低い半導体ベルトを製造することに成功した。

この時のデータを見た関係者は、コンパウンドの問題の大きさに驚いた。すぐに何故今までその混練方法を検討しなかったのか、という議論になった。カオス混合装置の開発を提案しやすい雰囲気となった。

混練技術とは、ただ高分子を混ぜる技術ではないのだ。要求される機能を作りこむために高分子を混練するのだ。原料の高分子と混練されたコンパウンドとは主成分の高分子一次構造は同じでもその成形体の機能は変化している。

また、機能を向上するために混練をするのである。だから混練機の選定は重要な作業である。もっとも中国での経験だが、性能の低い混練機にカオス混合装置を取り付けたところ、性能が向上してびっくりした。びっくりした理由はここでは書けない。

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