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2021.05/04 溶媒としての高分子

添加剤のブリードアウト現象を考察するときには、高分子を溶媒としてとらえている。そこで発生する問題に気がついているかどうかが、問題発生時にすぐアイデアが出てくる人とそうでない人に分かれる。

この分かれ道は頭の良し悪しではない。高分子の気持ちを忖度できるかどうかである。どちらかと言えば、その人の人間性とも関わるかもしれない。これは冗談ではなく、経験知に基づき書いている。

まず低分子溶媒に低分子を溶解するときの現象を復習していただきたい。物理化学の教科書を読むと理想溶液の話が出てくる。すなわち、低分子の溶解でも実際の現象が形式知からずれる場合があることを教科書は配慮して説明している。

低分子がつながって高分子になることを考慮すれば、教科書の溶解理論と実際が大きくずれてくることはすぐに想像ができる。いや、想像しなければいけない、と書き直す。

低分子の溶解性について熱力学で議論するが、そこではSPを理解する必要が出てくる。高分子の添加剤を選択するときにも高分子の一次構造からSPを計算するが、高分子のSPは実験で求めることをお勧めする。

計算で求めたSPが現象と一致する確率は60%前後というのが当方の経験知である。ゆえに、計算でSPを求め配合設計したがブリードアウトの問題が発生して困っている、と嘆く必要はない。一致しない確率が40%のパラメーターを用いた結果であると理解できれば安心できる。

ブリードアウトの問題については、まず、どのような手順で配合設計したのか振り返り、目の前で起きている現象を冷静に眺めるところから始める。

そして、コンパウンディングから射出成型あるいは押出成形プロセスで、高分子がどのような気持ちで添加剤の溶媒としてふるまっていたのか考えてみると原因が見えてくる。

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