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2021.05/29 ブルースからフュージョン

ブルースからロックやジャズが生まれ、ロックグループにはブラスを生かしたシカゴなどが登場し、1970年代末にはフュージョンブームが到来した。この音楽の潮流から技術開発の学びがある。

ブルースからロックやジャズと言う異なる音楽ジャンルが誕生したのは、ブルースを2つの視点でとらえたためである。現象から人間に役立つ機能を取り出す技術者も現象を眺めるときには、科学的視点だけでなく非科学の視点でも現象を眺める必要がある。

すなわち20世紀は科学の時代とも言われたが、現象を科学と言う偏った視点で眺めた時代と言うこともできる。自然現象はすべて科学で解明されているわけでもなく、科学に支配された現象が全てではない。

ゆえに現象をいつでも科学の視点だけで眺めていては見逃してしまう機能も存在する。ブルースからジャズやロックが生まれたように、現象から科学的な機能だけでなく、非科学的な機能を取り出す努力も必要だ。

現象から機能を取り出すときにブルースからロックやジャズを生み出したような科学にとらわれない柔軟な視点が求められるが、機能を組み合わせて新たな機能を創り出すときには、フュージョンを生み出したミュージシャンのようなノリが必要だ。

ピコ太郎のPPAPぐらいのレベルまで飛んで行ってもいいと思っている。高純度SiCの前駆体高分子は、およそ混ざり合うことが難しい組み合わせで合成されている。科学にとらわれていては思いつかない組み合わせであり、科学的方法では一生かかってもその合成条件が見つからないかもしれない方法で製造されている。

PPAPが一度ヒットしたら世界中でピコ太郎の物まねをする人が現れたように、高純度SiCの技術が実用化されたら、雨後の筍の如く類似の技術が生まれている。

当方が写真会社で開発したPPS半導体ベルトは、科学的視点と非科学的視点からアプローチして非科学的視点の技術で実用化された。10年以上その技術でPPS半導体ベルトは生産されているが、これは高純度SiCの前駆体とは異なる視点で現象を眺めた成果である。

自然現象をすべて科学で説明できるという思い上がりを反省しなければ、新しい視点を持つことも難しい。現象を眺める姿勢が謙虚になれば、生き方も謙虚になる。謙虚さは人との交流だけでなく自然との接点においても求められる。

カテゴリー : 一般

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