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2021.07/02 靭性を上げるには(2)

複合材料について、1980年代のセラミックスフィーバーの時に研究が進んだ。理由は、金属の繊維補強材料として、セラミックス繊維が多数開発されたからだ。当方も傾斜組成のC-SiC繊維で補強されたアルミニウムを瞬間芸で開発している。


この時に形式知として繊維補強により靭性が向上することが明らかになった。その形式知は繊維補強セラミックスとして応用され、さらに繊維だけでなく、超微粒子でも靭性の向上する事例が見つかっている。


部分安定化ジルコニアは、結晶転移により破壊エネルギーを緩和させて靭性を向上させているが、学生の時に面白い授業を聞いたおかげで、この部分安定化ジルコニアの靭性向上メカニズムを早くから知っていた。


その授業では、部分安定化ジルコニアで製造された湯呑茶碗を床に落としても割れないことを実演していた。ところが、当方が受講した年に教授が10数年間の授業と同じように湯呑茶碗を床に落としたところ粉々に割れたのだ。


教授の説明では長年落とし続けて、結晶がすべて転移したために、割れたとのこと。部分安定化ジルコニアではこのようにすべての結晶が転移してしまうと靭性は低下する。


複合材料による靭性向上手段も同様の現象を示す可能性があるが、微小亀裂を修復するアイデアも出てきているので、部分安定化ジルコニアよりも信頼性が高く、メンテナンスを行えば高靭性を保てる高強度材料ができると思う。


例えば自己修復ポリマーが研究されているが、この分野へ応用すると面白い成果が出ると期待している。例えば炭素繊維複合樹脂では、低融点樹脂を分散したマトリックスの複合材料とすることで、亀裂が入った時に外からコてをあてて修復する発明が開示されている。


これも自己修復と呼べるが、学会で報告されている自己修復性は、分子の一次構造が修復するポリマーで、より微細な構造の修復も可能と思われる。

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