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2021.10/16 知識の伝承

音楽は全くの素人と言うよりも不得意科目だった。それを改めて学ぼうと努力しているのだが、教則本をいろいろ取り揃えて読んでいると面白いことに気がつく。


ギターの教則本と言えばカルカッシの教則本がクラシックで有名であり、ジャズやロックの教則本にもこの流れをくんでいるものもある。古い教則本に多いが、新しい教則本にはジョー・パスの教則本に類似の構成が多い。


すぐにギターが弾けるようになる本は無いかと探していたら、10数冊ギターの教則本ばかり集まった。面白いのはNHK趣味のギター教室の教則本である。神田の古本屋で見つけた1970年代のNHKギター講座の教則本は古賀メロディー一色である。


今ならば編集会議でクレームが出ただろうと思われるが、古賀メロディーにチャレンジしたい方は、この教則本が良いかもしれない。2009年のNHK趣味悠々の教則本は石川鷹彦氏が担当しており、これは70年代のフォークソングで全体が構成されている。


アントニオ古賀氏の教則本はカルカッシのそれに近いが、石川氏の教則本は読み物として仕上がっており、DVDも付属しているのでお買い得である。要するに見て覚えよ、というスタイルである。


後者は1曲1曲仕上げてゆきながら学べるので飽きない限り楽しい教則本である。前者は運指方法の練習で多くの人は挫折するかもしれない。


養父貴氏の「ギターで覚える音楽理論」は、1-2曲ギターの弾ける人には適した理論書と思われる。基礎的な知識から始まり、論理的に構成されている。但し、これを読み終えたからと言ってすぐにジャズギターを弾けるわけではない。


布川俊樹氏の教則本は、いろいろ出ておりCDも発売されていた。この人の著作だけでも5冊買い込んだ。矢堀孝一氏についてはDVD含め3冊あり、面白いのはジョー・パスと布川氏の良いとこどりをしている。


教則本ばかり読んでいてもなかなかギターが弾けるようにはならないが、2年近く様々な教則本を読んできて面白いことに気がついた。自然科学の教科書には大体の定型的な流れがあるが、ギターの教則本はバラエティーに富んでいる。


最初に書いたようにおおよそのタイプに分類することも可能だが、著者の気持ちになって読んでみると、それぞれの流儀が見えてくる。例えば矢堀氏は布川氏にギターを習ったと序文で述べておられるが、著書の流れは布川氏ではなく、ジョーパスである。ジョーパスの影響を受けているのかどうかは知らないが、布川氏のスタイルと少し異なる。


昔、バーローの物理化学を読み、本の構成も含め教科書としてその斬新さと癖の強さに感動したことがあるが、自然科学の教科書にはこのような例は少ない。ゆえに形式知と呼ばれるのかもしれない。

カテゴリー : 一般

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