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2021.12/02 シミュレーションの方法

現象をシミュレーションする方法には、現象のモデルを数値解析し得られた数式で行う方法とコンピューターの中でモデルを動作させて計算を進める方法がある。


科学の世界では現象について数学で記述することを目指している。現象を数式で表現できれば未来予測も簡単である。数学を得意とする人ならば数式と現象がダイレクトにつながり、理解できるかもしれないが、凡人にはそれが難しい。


ゆえに現象をすべて数学で表現するのではなく、現象をモデル化して、出来上がったモデルを少しずつ変化させて計算する方法が直感で理解しやすい。


有限要素法では、物体を三角形の要素に分割し、例えば応力がかかった時の変形については、三角形の変形した座標を頼りに計算を積み上げてゆく。


現象についてすべて数式で記述されるよりもこの有限要素法的シミュレーションの方が凡人は理解できるかどうかは別にして安心できる。


ただし、この方法はコンピューター無しではシミュレーションは難しい。換言すればコンピューターが登場したから可能となった現象理解の方法である。


高分子も分子1本の解析結果を積み上げシミュレーションする技法が開発されている。ただ、複雑な分子になってくるとコンピューター資源が大量に必要となるので複雑な部分を簡略化して計算を進める手法が開発されている。


高分子とコンピューターとの関係などどうでもよい、と思っている人は時代遅れである。マテリアルインフォマティクスでは人間の頭でやったほうが良い場合があるのにAIを使ってデータマイニングする方法が検討されている。


昔TRIZやUSITが流行った時代があったが当たり前の結果しか出ないので相手にされなくなった。マテリアルインフォマティクスもAI一辺倒だと当たり前の結果しか得られなくて誰も相手にしなくなる、という懸念がある。


何でもコンピューターに放り込む、という姿勢もどうかと思う。昔電卓で微分方程式を解かれていた方は、大型コンピュータを操作できるスキルを持っていた。しかしそれでも電卓を使った理由は、それを使うことにより新しいアイデアが湧くからと言われていた。この言葉は今の時代にも参考になる。

 

カテゴリー : 一般 高分子

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