活動報告

新着記事

カテゴリー

キーワード検索

2022.02/08 放置された問題

昨日高分子材料において何が問題だったのか、よくわからない現象がある、との話を書いた。あるいは、よくわからない現象に対して、とりあえず経験知で対応し、そのまま放置しているときも同様であるが、本質的な問題が解決されず、そのまま放置されることが高分子材料では起きる。


実務でこのようなことが起きることにアカデミアの研究者は不思議に思われるかもしれない。しかし、ドラッカーも述べているように、問題を前にして、その問題を解かない、という意思決定も問題解決の一つなので、実務ではしばしばこのようなことが起きる。


意思決定者が不誠実な人間の場合には、隠蔽化も問題解決の一つになる。企業でコンプライアンス違反にもかかわらず隠蔽化が組織的に行われる原因である。


品質規格に合格しなかった材料について、数値を捏造し品質検査で合格したかのように見せるのも、隠蔽化の一種だと思っている。数年前に某材料メーカーが捏造を公表し社長が謝罪したところ、顧客である自動車メーカー各社は、部品としての品質検査では問題が無かった、と公表したので驚いた。


材料で品質規格に不合格でも部品としての品質検査で合格することは、高分子材料では起きることがあり、自動車メーカー各社の発表は真実かもしれないが、その後この問題が本質的に解決されたとのニュースを聞いていないので問題は放置されたのだろう。


本来は、この問題の本質について、材料メーカーと自動車メーカーが問題解決に尽力した、というニュースが報じられるべきだろう。


それでは、ドラッカーが間違ったことを言っていたのかというとそうではない。リーダーを選ぶときには、まず誠実な人を選ぶべきと述べている。誠実な人であれば問題を解かない、という意思決定においてコンプライアンス違反になるような選択をしないからである。


ちなみに、リーダーが不誠実で問題を隠蔽化するような選択をした場合に、部下の立場では葛藤が生じる。誠実な人であれば、そのような不誠実な組織の問題を正そうと悩むからである。


しかし、組織の不誠実な問題を前にした担当者は、内部告発(これを選択したなら組織にいづらくなる)か組織を外れる選択しかないことに気がつく。その時最悪の場合に自殺者が出たりするが、当方はこのような場合に死ではなく転職を選んでいる。


高分子材料において誠実な技術者ならば、高分子材料の本質的な問題について科学的な解明をする努力を行うべきで、もしそれが不可能ならば不可思議な現象として学会発表だけでもすべきかもしれない。

カテゴリー : 一般

pagetop